2023 Fiscal Year Research-status Report
Effects of physical activity promotion based on shared decision making for hip fractures
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23K16612
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
後藤 響 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 客員研究員 (90813436)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 大腿骨近位部骨折 / 共有意思決定(SDM) / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では大腿骨近位部骨折(HF)術後患者に対するShared decision making(SDM)に基づく活動促進プログラムを併用した介入効果を無作為化比較試験にて明らかにすることを目的としている.そして、今年度は「HF術後患者に対するSDMに基づく活動促進プログラムの方法論の確立」を主目的に,評価および介入方法を各担当セラピストが統一して実施できるように伝達講習会を開催した。その後,HF術後患者を対象に,無作為に介入群と対照群に振り分け、介入群には術後から痛みの状況に合わせて立位・歩行訓練を進めていく標準的リハビリテーション(リハ)に加えて,術後2週目から,SDMに基づく活動促進プログラムとして,患者とセラピストで,①リハの進め方等に関する情報,②生活目標,③1日の歩数を共有し,お互いの合意のもと生活目標や目標歩数を設定した。一方,対照群は標準的リハのみを実施した.そして,主要アウトカムは身体活動量として,3軸加速度計を用いて1~9Metsの活動時間を,副次アウトカムは動作時痛(NRS),また,精神心理機能は破局的思考(PCS),抑うつ(GDS)-15,転倒恐怖感(FES),ADLはFIM運動項目(mFIM)を採用し,術後2,4週と退院時に評価した。さらに,運動機能はTUGT,6MWDを採用し,術後4週と退院時に評価した。結果,介入群4名,対照群4名に振り分け,身体活動量は介入群において,退院時は術後2週に比べて有意に高値を示した.この結果から,近位部骨折術後患者に対するSDMに基づく活動促進プログラムを併用したリハによって身体活動量の向上効果が見込まれる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はSDMに基づく活動促進プログラムの方法論の確立を主目的に研究を進め,SDMに基づく活動促進プログラムの方法を各セラピストが統一してできるように伝達講習会を開催し,研究を進めるあたっての介入方法の確立や評価方法の統一を図った。そして,実際に大腿骨近位部骨折術後患者にSDMに基づく活動促進プログラムを併用するリハビリテーションを実践した。その結果,介入群において,SDMに基づく活動促進プログラムを臨床的に実施することは可能であり,サンプルサイズは少ないものの,主要アウトカムである身体活動量が向上する可能性を見い出せた。したがって,当初の研究計画通り,おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,大腿骨近位部骨折術後患者に対するSDMに基づく活動促進プログラムを併用するリハビリテーションの方法論の確立ができ,その介入効果として,身体活動量が向上する可能性が考えられたため,サンプルサイズを増やし,さらなる効果検証をすすめる必要がある。現状の結果から,今後の仮説として,標準的リハビリテーションにSDMに基づく活動促進プログラムを併用することで,主要アウトカムである身体活動量の向上の効果が期待できるとともに,副次アウトカムである疼痛や心身機能にも影響を与えていくのではないかと推察している。また,対象者の在宅生活の状況を調査するために,退院6ヶ月後のフォローアップにて,身体活動量や疼痛,QOLを評価し、同時に在宅復帰後の社会参加の状況に関しても検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はSDMに基づく活動促進プログラムの方法論を確立するために,各セラピストへの伝達講習に時間を要し,実際に無作為化比較試験による大腿骨近位部骨折患者に対するSDMに基づく活動促進プログラムを併用するリハビリテーションを進めるにあたって,今年度は少数の対象者にしか実施できなかった。そのため、次年度は目標症例数を目指し、円滑に研究を進めるために,活動量計の購入や評価機器を揃えて,多くの対象者に評価および介入が実施できるようにしていく予定である。また,論文執筆や学会発表にて実績を積んでいく予定である。
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