2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of factors that accererate the axonal regeneration
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23K16646
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
屋富祖 司 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (50971272)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | axonal regeneration / GABA / Glycine / KCC2 / Sciatic functional index / RNA sequencing / Tibial nerve |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】神経軸索の損傷は、その神経細胞が関与する神経回路や末梢器官の障害をまねく。運動機能の回復のために、早期からの運動療法を含めたリバビリテーション介入に加えて、軸索の再伸長をすみやかに達成させるための試みは極めて重要である。本研究は、変性から再生への移行ならびに軸索進展を加速する因子は何か?を問いとして、行っている。令和5年度は主に以下の2つの成果を上げることが出来た。 【本年度の研究成果】 1つめは、GABAの機能を抑制性に導く輸送体(KCC2)の低下により軸索伸長が加速されるかの解析を続けその成果を論文にまとめた。脛骨神経切断・縫合モデルマウスをKCC2の発現量が半減しているKCC2ノックアウトマウスのヘテロ接合体と野生型で作製し、両者の再生過程の違いを解析した。その結果、ヘテロマウスでは、運動障害が軽度で、軸索の変性、軸索の再伸長、再髄鞘化が速く進行していた。さらに、運動ニューロンに発現するマーカーの解析から、行動解析、電子顕微鏡解析の結果が裏付けられた。以上のことから、KCC2の低下によるGABA/グリシンの興奮性作用が、軸索の伸長を促進し、運動機能の低下を軽減することが明らかになった。加えて、GABA/グリシンの興奮性ならびにKCC2の低下を誘導することにより、軸索の再生を促す治療法につながる可能性が示唆された。 2つめは、軸索再生と関連する遺伝子の解析を開始した。野生型、ヘテロ両方のマウスの脛骨神経を切断・縫合し、7日後に脊髄を摘出した。そして、野生型、ヘテロマウスそれぞれの、手術側と非手術側4種類の標本をmRNA解析に回したところである。今後、手術側で大きく発現変化する遺伝子、野生型よりヘテロマウスにおいて大きく変化する遺伝子を特定し、神経再生を促進する遺伝子を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたKCC2の働きを明らかにし、論文投稿し修正投稿も済ませた。さらに、遺伝子解析を開始し、解析結果を待っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1つめの研究に関しては、Revise原稿を投稿中であり、結果を待っている。さらなる修正が必要であれば、追加実験などをする予定である。 2つ目については、今後、RNA解析の結果を待って、神経の再生に関与する因子の中でも、KCC2の発現変化と強く関係する遺伝子を特定し、その再生過程での発現現変化を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度、KCC2ノックアウト系列のマウス繁殖がうまくいかなかったために、mRNA解析のための試料が十分にはそろわなかった。現在、凍結受精卵から個体作成を行い、繁殖を再開したことから、新年度中には検体の採取が可能と考えている。
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