2023 Fiscal Year Research-status Report
VRを活用したスポーツ活動による認知および身体機能の改善効果に関する研究
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23K16688
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
山口 裕嗣 西九州大学, 健康福祉学部, 講師 (00826513)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 仮想現実 / 認知機能 / 身体機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はウィズ・ポストコロナ社会においても実践可能な運動様式として,未だ知見の少ないHMD(head mounted display)による仮想現実(virtual reality, VR)の技術を活用したスポーツ活動による健康効果について検証するものである。特に認知症の予備軍とされる軽度認知障害(mild cognitive impairment, MCI)を有する高齢者を対象に,VR空間でのスポーツゲームを用いたレクリエーションによる認知および身体機能に対する改善効果について検討するとともに,VRを活用したフィットネストレーニングの有効性についても明らかにする計画である。 1年目にあたる令和5年度は,認知症の発症が懸念されるMCIを有する高齢者を対象として,VR空間でのスポーツゲームを用いたレクリエーションによる認知および身体機能に対する改善効果について検討する計画であった。一方,新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが令和5年5月より5類感染症に移行されたものの,研究受入先の介護老人福祉施設への出入制限が緩和される状況に至らなかった。さらにインフルエンザ等の流行により,結果として当該年度に予定していた協力施設での介入研究を実施することができなかった。そのため地域包括支援センター協力のもと,受け入れの承諾を得ることのできた高齢者の集い・通いの場(高齢者サロン)において,地域在住高齢者の健康づくりに寄与する各種測定を行う地域活動を実施し,予備的なデータの収集を行った。対象者は認知症疑いのある者ではなかったものの,本研究の遂行に向け今後の関係づくりに努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では対象者を認知症疑い(軽度認知障害)のある者としており,地域の介護老人福祉施設からの協力が不可欠である。令和5年度はコロナの5類移行後もインフルエンザ等の流行による影響を受け,協力施設における介入研究の実施を見送らざるを得なかった。その結果,各種測定機器の整備やそれらの機器を活用した地域在住高齢者を対象に測定を行う地域活動に取り組み,2年目の研究遂行に向けた関係づくりに努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は,仮想現実(virtual reality, VR)の技術を活用したスポーツゲームおよびフィットネストレーニングが認知および身体機能を改善する方策になり得るかについて検証することである。さらに,介入により認知機能の改善がみられた場合,その機序の1つとして考えられる血管内皮機能の改善効果についても検証し,認知・身体および血管内皮機能の改善における関連について検討する計画である。すなわち本研究は,認知症の発症が懸念される軽度認知障害(mild cognitive impairment, MCI)を有する高齢者に対し,ウィズ・ポストコロナ時代にも実施可能な運動を選択肢の1つとして提案することを目指すものである。 1年目の令和5年度は介入研究を実施することができなかったが,地域包括支援センターから協力を得て,高齢者の集い・通いの場(高齢者サロン)で地域在住高齢者を対象とする健康度測定を実施し,予備的なデータ収集を行った。令和6年度は研究受入先の介護老人福祉施設との調整を進め,VR空間でのスポーツゲームを用いたレクリエーションによる認知および身体機能に対する改善効果を検証する介入研究を遂行したい。今後も地域住民のニーズに応えながらも,引き続き地域との協働の推進に積極的に寄与していきたい。
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Causes of Carryover |
令和5年度に購入予定としていたマルチ周波数体組成計(MC-780A-N, タニタ社製)について,すでに所属学科で所有する機器を当該年度は借用することができたこと,また介入研究を開始することができずHMDの必要数購入を見送ったことから次年度使用が生じた。令和6年度は繰り越した研究費を体組成計および不足するHMD等の購入に充てたい。
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