2023 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝因子アポリポ蛋白C2を介した骨格筋発現制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
23K16713
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小松 知広 福岡大学, 医学部, 講師 (80838756)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 骨格筋 / アポリポ蛋白C2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は、ヒト骨格筋分化の初期に注目して実験検討した。ヒトiPS細胞に骨格筋分化マスター遺伝子MyoD(m-cherry標識を付属)を強制発現させることで、分化開始前から4日間の期間で骨格筋細胞へ分化させる実験を行い、mRNAレベル変動についてRT-PCR解析を実施した。その過程(分化開始前、1日後、2日後、4日後)で、アポリポ蛋白C2 mRNAレベルを検討したところ、分化開始前から4日目まで増加(分化開始前を1とすると1日目:3.9倍、2日目:1.7倍、4日目:4.2倍)を認め、骨格筋分化の初期において2層性の増加変動をすることを示唆した。さらに、同じ骨格筋分化マスター遺伝子MyoDを強制発現したヒトiPS細胞を用いて、骨格筋細胞への分化過程においてiPS細胞の分化開始前、分化開始6時間後、1日後、2日後、4日後を網羅的RNA-sequence解析にて様々な因子の発現を検討し、また顕微鏡で骨格筋細胞への分化を確認した。まず、骨格筋分化マスター因子MyoDおよびその付属標識mCherryが分化誘導開始から4日目まで著明な高値を示していることからmRNAレベルで骨格筋分化誘導がなされ、顕微鏡下での骨格筋細胞への形態変化初期と動態が一致していることを確認した。しかし、アポリポ蛋白C2は、この骨格筋分化初期の期間においてヒトiPS細胞から骨格筋分化させた同じ細胞実験系で検出の定量値が低値となり、RT-PCR法にて検出した変動と比較できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標が、ヒトiPS細胞の骨格筋分化マスター遺伝子の過剰発現モデルを用いて、骨格筋細胞へ分化される過程での初期段階をRT―PCR法や網羅的RNA-sequenceで検討・解析することであったため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、骨格筋分化の初期から成熟期までの全般において、ヒトiPS細胞から骨格筋分化における制御メカニズムについて検討していく。さらに、次年度はマウス骨格筋のサテライト細胞(骨格筋に分化する前の幹細胞)にも注目してヒトと異なる種で骨格筋分化成熟に関して実験検討を行う予定である。
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