2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K16727
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 知 昭和大学, 歯学部, 助教 (00823064)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 骨折治癒過程 / 骨幹端 / 骨幹部 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨折の多くは橈骨遠位端に代表される長骨骨幹端で発生する。骨折モデルの多くは長骨骨幹部を用いており、骨幹端の骨折については不明な点が多い。両部位の治癒過程は異なり、安定した骨幹端骨折では骨膜側に仮骨ができず、髄腔側からの膜性骨化によって修復が行われる。骨幹端骨折の初期反応については不明な点が多く、特に治癒過程に重要な炎症期については明らかとなっていない。炎症反応はその後の治癒過程に大きな影響を与えるため、解析が必要な時期である。 本研究では、骨折が多く発生する長骨骨幹端の治癒過程における炎症反応の役割を明らかにする。一般的に骨折モデルとして用いられている骨幹部と比較して、どのような差異があるかを検討した。 両部位にドリルホールモデルを作成し、組織学的な差異を観察した。その結果、骨幹端では好中球などの炎症に関わる細胞が、骨幹部よりも早期に認められなくなった。また骨形成に関連する細胞の出現が早期に認められた。インドメタシン(NSAIDs)を用いて炎症を阻害した結果、骨幹端では髄腔側の仮骨はほとんど減少しなかったが、骨幹部では減少していた。BRDUの免疫染色を行い、増殖細胞を計測した結果、骨幹端ではほとんど減少していなかったが、骨幹部では著しい減少が認められた。また、コントロール群では骨幹端のほうが、骨幹部よりも増殖細胞が多く認められた。これらの結果から、骨幹端では炎症を阻害しても影響が少ないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨幹端と骨幹部の治癒過程における初期の反応について、解析が行えた。また両部位の差異が明らかとなってきた。しかし、免疫染色などの実験が抗体の不備などで行えなかったため、やや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫染色を行い、炎症、骨形成に関連する細胞の局在について明らかにする。さらにTNF-αの阻害剤を用いて、炎症の役割について明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現の解析などが行えなかったため、次年度に合わせて行うこととする。さらに阻害剤を用いた実験を行う。
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