2023 Fiscal Year Research-status Report
身体活動のパンデミック感染症予防効果および流行下での安全な実施方法に関する研究
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23K16728
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
町田 征己 東京医科大学, 医学部, 講師 (90848508)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 感染症対策 / 運動 / 身体活動 / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、身体活動のパンデミック感染症に対する予防効果を明らかにするとともに、身体活動・運動中の感染症患者クラスター(アウトブレイク)の発生要因を明らかにし効果的かつ負担の少ない感染症対策を検討することである。 1年目(2023年度)は、前者の調査を行う予定であった調査フィールドに関するデータのクリーニング作業を行った。また、そのデータの一部を用いた通勤中の身体活動に注目した分析を行い国際学会で発表を行った。 また、身体活動・運動中のアウトブレイク発生要因を明らかにするため、システマティック・レビューを実施した。システマティック・レビューの実施においては、PRISMAガイドラインを遵守し、PROSPEROへの事前登録を行った。(登録ID:CRD42023443158 / Title: Transmission of SARS-CoV-2 during sports and exercise: a systematic review) 新型コロナウイルスによる運動中のアウトブレイクに関する症例報告を抽出し、報告されているアウトブレイク要因を集計した。レビューの結果、21本の論文を特定した。アウトブレイクの原因として多く報告されているものは、屋内環境でのエアロゾル吸入を減少させる対策(マスク着用や換気)の不足、運動以外の時間の会食などのレクリエーション、有症状者の運動への参加であった。一方で、接触感染をアウトブレイクの原因とする報告はなかった。このことから、運動中の新型コロナウイルス感染症対策として、換気や運動前後の会食などのレクリエーションの削減、症状スクリーニングが有効な可能性が示唆された。 この研究結果は、新型コロナウイルス感染症と類似する呼吸器感染症によるアウトブレイクの対策を考慮するうえでも有効であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のシステマティック・レビューは、現在国際医学雑誌に投稿中であり当初の予定よりも早期に進んでいる。 一方で、本研究ではシステマティック・レビューの他に身体活動のパンデミック感染症に対する予防効果を明らかにするために、職域コホートでの調査を予定していた。しかし、人事異動等に伴い調査フィールドとなる予定であった職域での調査・研究が困難になった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在投稿中のシステマティック・レビュー論文については、引き続き査読結果への対応などを進めて論文掲載を目指す。また、システマティック・レビューの結果を、関連する学会での発表や、所属する研究機関のホームページへの掲載などを通じて、社会に普及啓発することを目指す。 身体活動のパンデミック感染症に対する予防効果については、予定していた調査フィールド以外で研究が実施できないか検討する。
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Causes of Carryover |
論文掲載費を計上していたが、投稿中の論文が年度内に採択されなかったことから、次年度使用額が生じた。次年度以降に該当論文が採択された際の費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)