2023 Fiscal Year Research-status Report
体育授業におけるICT活用促進に向けた教師教育システムの構築
Project/Area Number |
23K16751
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
木原 慎介 東京国際大学, 人間社会学部, 准教授 (80773382)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 体育教師教育 / ICT活用 / 教員研修 / アクションリサーチ / 教師の学び |
Outline of Annual Research Achievements |
学校教育での各教科指導におけるICT活用の促進が求められている中で、体育授業におけるICT活用をめぐる諸課題への対応として、本研究では、体育教師の教員研修のあり方に着目し、現職教師との協働的な課題解決型アクションリサーチによって、教師自身の成長可能性やICT活用の促進に潜む問題点について探索することを目的としている。 4年間の研究計画のうち1年目に当たる本年度(令和5年度)は「立上げ期」と位置付け、国内各地の体育授業実践や教員研修に対するフィールド調査を実施し、本研究の趣旨に合致する研究協力者として中学校体育教師3名を有意抽出した。そのうち、1名の教師Aについては、予備的なプロジェクトを先行実施した。すなわち、教師Aの従来の授業における実践上の課題を把握・整理(ベースライン調査)した上で、メンター(研究者=申請者)及び教育行政担当者(教育委員会指導主事B)とが介入した授業デザインワークショップを経て、それに基づく授業実践・観察及び授業リフレクションを、体つくり運動との関連を意図した保健授業の単元で実施した。この一連のプロジェクトの後に、その取り組みを振り返るインタビュー調査を教師A及び指導主事Bに対して実施した。同インタビュー内容の詳細な分析は次年度以降となるが、教師Aや同プロジェクトに関わった指導主事Bからは、それぞれに自身の成長につながるような語りが聞かれ、また、特にICT活用に潜む問題点に関しては、教師Aが実際に授業で拾った生徒の声から「ICTを使うと分かりやすいが面白くない」という興味深い内容が含まれていた。 併せて、海外調査では韓国ソウル市における中学校及び高等学校訪問(体育授業視察、ヒアリング)を実施し、特に体育授業におけるICT活用や教員研修の視点での情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本研究を立ち上げるための国内外のフィールド調査を実施し、研究協力者として想定していた中学校体育教師3名の目処をつけることができた。今年度(令和5年度)に実施する予定であったベースライン調査について実施できたのはそのうちの教師A1名のみであり、残りの教師2名については改めて次年度(令和6年度)に実施する予定ではあるが、その分、教師Aについては本研究1年目に授業デザインワークショップや実際の授業実践及びリフレクション、そしてインタビュー調査という一連のプロジェクト研究を先行実施できたのは、今後の研究全体を円滑に進展させる上で有益であった。したがって、概ね順調に進捗していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
4年間の研究計画のうち2年目に当たる次年度(令和6年度)は、当初の予定通り「計画期」及び「実践期」と位置付ける。 教師Aについては、先行実施ができたプロジェクトの1クール目についての分析と、それを踏まえた2クール目のプロジェクトを実施する予定である。 他の2名の教師については、対象とする単元と実施時期を相談した上で、ベースライン調査を実施し、それらを踏まえて授業デザインワークショップ及び授業実践、授業リフレクションといった一連のプロジェクトの1クール目を実施する予定である。 あわせて、教師Aの事例を中心とした中間的な報告として国内外の関連学会、あるいは論文等で発表する。 また、引き続き国内外の学校現場や教員研修等へのフィールド調査を通して、体育授業におけるICT活用の実態や体育教師教育(教員養成や教員研修など)に関する全体的な動向の把握、情報収集にも努める。
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Causes of Carryover |
本年度は、結果として特にICT関係の物品費の購入必要性が生じなかった一方で、旅費については各地へのフィールド調査が多くなったことで予定額より超過したが、トータルとしては余剰額が生じた。次年度以降の物品費等の購入予算へ回すとともに、引き続き、フィールド調査も継続することから、次年度使用額については、本年度の余剰額と当初請求した助成金とを合わせて使用する計画であり、大きな変更は必要ないと判断した。
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