2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管ホルモンGIPは間葉系前駆細胞の脂肪分化を制御してサルコペニア肥満に関与するか
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23K16764
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 侑也 秋田大学, 医学部附属病院, 医員 (60837285)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管ホルモンGastric inhibitory polypeptide(GIP)が、間葉系前駆細胞Fibroadipogenic progenitors(FAPs)の脂肪分化促進因子であるとの仮説を立て、GIP受容体欠損マウスを高齢条件で解析した。マイクロCTでの解析では、高齢GIP受容体欠損マウスは高齢野生型マウスと比較して、骨格筋を含む除脂肪組織の割合が多く、逆に脂肪組織の割合が減少していた。高齢野生型マウスは、骨格筋内脂肪IMAT(Intramuscular adipose tissue)の増加、骨格筋量の減少、筋線維横断面積の減少、握力の低下といったサルコペニアの表現型を示したが、一方で、高齢のGIP受容体欠損マウスではこれらが抑制されていることを明らかにした。また、野生型マウスの骨格筋からMACS法によりFAPsを単離し、GIP受容体遺伝子の発現を確認した。さらに、GIPの添加により、FAPsの脂肪分化がより促進することを示した。逆に、FAPsが分泌する筋形成促進因子はGIPの添加により、発現が低下することを認めた。さらに詳細にメカニズムを解析する目的で、IMAT形成を実験的に誘導するグリセロール筋注実験を行った。野生型マウスと比較して、GIP受容体欠損マウスではIMAT形成が顕著に抑制され、PPARgなどの脂肪分化関連遺伝子の発現も低下した。加えて、野生型マウスにGIP受容体拮抗薬を投与した実験においても、IMAT形成が有意に抑制されていた。以上より、GIPがFAPsの脂肪分化促進作用をもたらし、サルコペニアに関与していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究課題についてはおおむね検証できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
FAPs自体の生物学的な特徴についてさらに詳細にまとめたいと考えている。さらに、GIPと骨格筋との関連について、別の観点からのアプローチにより理解を深めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
物品費について、抗体の種類を厳選するなどしたため、当初予定よりも使用額が少なかった。次年度は、FAPsの細胞学的性質について、分子生物学的手法を用いてさらに追究する実験を予定しており、その費用としたい。
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