2023 Fiscal Year Research-status Report
個体老化におけるp16発現細胞のヒストン修飾制御機構の解明
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23K16766
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中宿 文絵 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (50965887)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | p16 / ヒストン / 細胞老化 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、細胞老化関連遺伝子であるp16を発現した細胞の転写的な特徴を明らかにするために、p16発現細胞をEGFPで標識するレポーターマウス(p16 Cre:mTmG)の老齢個体から肝非実質細胞を分取し、シングルセルRNA-seqを行った。その結果、類洞内皮細胞およびマクロファージにおいて、EGFP陽性細胞を検出することに成功した。我々はGEOに登録されているマウス類洞内皮細胞と肝マクロファージにおけるH3K27acのChIP-seqデータ(GSE154827, GSE63339) を解析し、H3K27ac近傍に存在する遺伝子を複数同定している。この遺伝子のリストと照らし合わせることで、ヒストン修飾で発現制御される遺伝子が、加齢とともにその発現が変化しているか検証することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p16レポーターマウスの老齢個体の肝臓から類洞内皮細胞とマクロファージをfluorescence-activated cell sorting(FACS)にて分取し、シングルセルRNA-seqを実施した。内皮細胞のマーカー遺伝子であるStab1を発現する類洞内皮細胞、Csf1rを発現するマクロファージを検出できた。これらの細胞集団にはEGFP陽性細胞が含まれていた。今後、EGFP陽性細胞と陰性細胞の遺伝子発現を比較することで、p16を発現した細胞の転写状態を明らかにできると考えられる。当初の計画では、上記の解析は2年目に行うことを予定していたが、計画を変更した。1年目に実施予定の実験は今年度実施する予定であり、進捗に影響はないため、おおむね順調に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に取得した老齢マウス肝臓のシングルセルRNA-seqのデータを用いて、EGFP陽性細胞と陰性細胞を比較し、発現に差がある遺伝子を抽出する。上記の遺伝子とH3K27ac近傍に位置する遺伝子のリストを比較し、加齢に伴いヒストン修飾で制御される遺伝子発現に変化があるか調べる。
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Causes of Carryover |
マウス肝臓のマクロファージおよび類洞内皮細胞の転写発現解析を行うにあたり、細胞をMagnetic cell sorting(MACS)にて分取することを計画していたが、解析に必要な細胞数を回収することができなかった。そのため、細胞回収の条件検討を行った。条件検討に時間を要したため、当初計画していた研究費を全額使用するに至らなかった。今年度は、繰越した研究費を使用し、研究課題を進める。
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