2023 Fiscal Year Research-status Report
酸化ApoE/ApoA1-HDLがアストロサイトの細胞内脂質代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
23K16777
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
高橋 祐司 北海道医療大学, 医療技術学部, 講師 (60804292)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ApoE-HDL / 脳内脂質代謝 / アストロサイト / アルツハイマー / HDL酸化 / 血小板凝集抑制能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヒトの培養アストロサイトを酸化ApoE/A1-HDLによって刺激を行い、細胞内脂質代謝にどのような変化が生じるのかを明らかするため、ApoE-HDLとApoA1-HDLを用いてヒト培養アストロサイトに対する比較実験を行うものである。 1)酸化ApoE/A1-HDL刺激は、細胞内脂質代謝に影響を与えるのか 2)酸化Apo-E HDLとApo-A1 HDLの細胞増殖促進効果は、どの経路を介しているのか 3)アストロサイトからのコレステロール引抜き量は、HDLの酸化により変化するのか を明らかにすることを目的としている。 令和5年度は、健常人血液から分取した未酸化ApoE/ApoA1-HDLが、細胞内代謝にどのような影響をあたえるのかを確認している。ApoE/ApoA1-HDL刺激後の細胞内変化とリポ蛋白の酸化によりその代謝が変化するかを確認するため、酸化ApoE/A1-HDLを取り込んだアストロサイトの増殖率と遺伝子発現解析として、細胞増殖試験及びリアルタイムPCRにより遺伝子発現を解析している。また、アルツハイマー型認知症に加え、血管性認知症とApoE/ApoA1 HDLとの関連性にも着目し、血小板凝集能に及ぼす影響を確認している。健常人HDL亜分画を添加したADP誘発性血小板凝集の測定法を確立し、ApoA1-HDLとApoE-HDLの血小板凝集抑制能を評価した。血小板凝集能に影響を与える因子として、添加ADP濃度、採取からの測定時間および添加溶液の塩濃度の検討を行い、統一条件を設定した。各HDL亜分画で凝集率に有意差は認められなかったが、ApoA1-HDLとApoE-HDLの両者で二次凝集抑制の傾向があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施時期の多少の前後はあるが、あらかじめ計画している通り研究は進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
アストロサイト表面のレセプター別の酸化ApoE/ApoA1 -HDL取り込み率を明らかにする。コレステロールの引抜き量に差があるのかを確認する。 1)酸化ApoE/ApoA1-HDLの取り込みレセプターの確認 細胞表面のリポタンパク質レセプターの取り込みを確認する。酸化修飾を受けたApoE/ApoA1-HDLは、リポタンパク質表面の特性が変化する可能性がある。アストロサイトが反応するApoE-HDL受容体は、LDL receptor, VLDL receptor, LDL receptor-related proteinの3種類が認められている。siRNAを用いたRNA干渉によりレセプターのノックダウンを行い、取り込み量の変化を確認する。 2)コレステロール引抜き量の比較 アストロサイトからのコレステロール引抜き量に未酸化及び酸化ApoE/ApoA1-HDLに差が生じるのか確認する。確認方法は、重水素標識のコレステロールを24時間培養細胞に取り込ませた後、ApoE/ApoA1-HDLでそれぞれ刺激を行う。上清及び細胞のコレステロール量を、酵素法と質量分析計により解析する。
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Causes of Carryover |
実験計画の実施状況に若干のずれがあるため、研究費支出時期のズレが生じているが、本年4月よりそれらを支出している。また、細胞培養・PCRの実験に使用する実験機材、学会旅費の高騰があり、本年に計画している研究計画実施の費用として充当する。
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Research Products
(3 results)