2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の健康関連因子を体力科学の視点から解明する―長期観察運動疫学研究―
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23K16782
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
古瀬 裕次郎 鹿屋体育大学, その他, 特任講師 (40826377)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 高齢者 / 医療費 / 身体機能 / 嗅覚機能 / 有酸素能 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者が健康で長生きすることは、社会保障給付費の増加など我が国を挙げて対策すべき喫緊の課題である。そのため、本研究では、複数の地域を対象とした前向きコホート研究を展開し、体力・運動・身体活動といった体力に携わる因子が、高齢者の健康寿命の延伸に関連しているかどうかを明らかにすることを目的としている。 2023年度は、対象としている3つの地域のうち、2つの地域に関係する縦断研究のデータを収集し、学会発表を行い、学術論文を作成している(論文投稿中)。投稿中の論文では、高齢者の2.5年間の医療費データを収集し、健康関連因子として身体機能、有酸素能、認知機能、嗅覚機能に係るデータと医療費の高騰(抑制)との関連を検討している。投稿している論文では、健康関連因子の中でも嗅覚機能に着目し、高齢期の嗅覚機能の維持が医療費(整形外科)の抑制と関連していることを明らかにした。 現在別途解析中のデータでは、高齢者の運動介入を行った際の健康関連因子の改善(向上)について検討している。本内容については2024年度に分析を完了し、学会発表と論文投稿を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度であったが、対象としている3つの地域のうち、2つの地域の縦断データを収集することに成功している。1つの地域を対象としたデータ解析を行い、学会発表と論文投稿を行うことができている。さらに、別の学術論文の作成にも取り掛かることができていることから、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの地域ではすでに縦断データの収集に取り掛かり、一部ではデータ収集が完了している状態である。そのため、すでに縦断データの収集が進んでいる2地域では、データ解析と学術論文の作成を進める。 残りの1つの地域では、現在縦断データを収集できるように行政との交渉を行っている。縦断データの収集にあたり、他大学との共同研究も計画している。来年度は縦断データを収集し、データベースの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
統計処理を行うために、統計ソフトを購入する予定であったが、物価高騰のために予算をオーバーしたため購入を再検討とした。その結果、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画として、当初予定していた統計処理ソフトウェアのための支出を、予定より早く縦断データの収集が完了した地域を対象とした論文作成の予算として一部使用するものとした。今年度のデータ収集状況を鑑みる必要があるが、学術論文作成のための支出が予定より順調に進む可能性があるため、そちらの予算として代替する予定である。
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