2023 Fiscal Year Research-status Report
高脂肪食による脂肪性肝疾患や消化器癌における腸管上皮LAT1の意義についての検討
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23K16795
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 竜太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (80975029)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / 脂肪肝 / 腸内細菌叢 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は腸管特異的LAT1欠損マウス(LAT1flox/flox ; vil-cre)を用いて、腸管腫瘍を作るApc/Minマウスモデルと交配することによって、LAT1が腸管腫瘍の発現においてどのような役割を果たしているかを検討した。その結果、LAT1欠損マウスでは、controlに比べて腸管腫瘍の数が減り大きさも小さくなることが確認された。またKi67やTUNEL染色を用いて、LAT1欠損マウスにおける腫瘍においては、controlに比べて腫瘍増殖が低下し、アポトーシスに至る細胞が増えていくことも組織学的に証明した。もともとLAT1は小腸陰窩のパネート細胞に多くの発現を認めていたが、腸管特異的LAT1欠損マウスでは小腸のパネート細胞の減少も認め、これによりWnt/βカテニンの発現が抑制され、腫瘍の減少につながったものと考えられ、J Gastroenterolに報告した(Sui, Hoshi, Yoshida et: J Gastroenterol,58:444,2023)。腸管特異的LAT1欠損マウスについては、継続して継代維持している。また肝癌モデルについては、発癌剤であるジエチルニトロサミン(DEN)を生後6週に5ml/kgを単回腹腔内投与し、40週時点評価を行ったが発癌が認められなかった。現在は、DEN 25~100ppmの水を経口から自由飲水として再度作成を行っている段階である。100ppmでは評価段階に至るまでに致死が多くみられたため、25ppmとして今後の組織学的評価を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸管特異的LAT1マウスモデルを用いた表かは継続的にできており、既に腸管腫瘍については論文化を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
DENによる肝発癌モデルが確立できれば、腸管特異的LAT1欠損マウスへの投与を行い、controlに比べた肝発癌への影響を検討していく。また高脂肪食負荷による肝・消化管発癌亢進に変化が生じるかについても評価していく予定としている。 また腸管特異的LAT1欠損マウスを用いた、腸管腫瘍を作るApc/Minマウスモデルについては、今後高脂肪食負荷を行うことで、腸内細菌叢の変化や腫瘍への影響についても改めて評価していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は当教室でこれまで系統維持を行ってきたマウスを用いることで、新たなマウス作成が無かったことが挙げられる。また組織学的評価や免疫染色、PCRでの検討項目が多かったため、予定よりやや使用額が減額となった。 今後は、脂肪肝モデル・肝がんモデルを解析していくにあたって、腸内細菌叢や短鎖脂肪酸など、外注を含めてやや高額な検査項目が増えることが想定されている。
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