2023 Fiscal Year Research-status Report
超早期NASH病態モデルを用いた疾患発症メカニズムの解明
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23K16807
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
名仁澤 英里 愛知医科大学, 医学部, 助教 (10879464)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | NASH / 高脂肪食 / 高糖質食 / 代謝物解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活の欧米化に伴い、有病率が増加している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、 肝硬変、肝がんへ進行する可能性が高い危険な疾患である。ゆえに、疾患の早期発見が望まれるものの、NASHの発症過程は自覚症状が乏しく、発症メカニズムも明らかになっていない。そのため、より早期段階におけるNASHの診断法と治療法の確立が求められる。申請者は以前、短期間の高脂肪食および高糖質食の摂取により肝臓で凝固・炎症が亢進する2つの『超早期NASH病態モデル』を作製した。本研究ではこれらを用いて、肝臓や血中で変動する凝固と炎症に関わる代謝物を検出し、その作用機序を解析することでNASHの発症メカニズムを解明することが目的である。 これまでに、短期高脂肪食モデルの肝臓・血液サンプルを用いて、GC-MS/MSを用いた代謝物の測定を行い、特異的に増減する代謝物の中から、凝固・炎症の増悪に関わる可能性のある脂肪酸Aを選出した。今後はこの代謝物に着目して更なる解析を行ない、凝固・炎症の増悪に関わる因子とそのメカニズムを同定していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通りの実験が遂行できており、新たな成果も得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在着目している脂肪酸Aの凝固・炎症病態への関連性を検討するために、まずはマウスに単独投与を行い、一次止血に関わる血小板や二次止血に関わる種々の凝固因子の活性、および脂肪酸Aが肝内在免疫細胞および脾細胞の炎症反応に与える影響を検討する。こうして生体内での凝固・炎症への作用を確認した脂肪酸Aを、短期高脂肪食モデルに投与することで、当モデルが誘発する凝固および炎症状態に変化が誘導されるかを、Con A誘導性肝障害の増悪度を指標に評価し、NASHの早期診断・予防に有用な因子を同定する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも動物実験がスムーズに遂行でき、予定購入数を下回った。それに伴い、動物実験に必要な備品の購入費や血清サンプルの測定外注費等が低額となった。また、2023年度の研究成果の発表を次年度以降へと延期したため、旅費に使う経費が不要となった。
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