2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K16842
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
南川 智都 成蹊大学, 理工学部, 助教 (80911700)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 離散凸関数 / 離散凸解析 / 離散最適化 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
離散凸解析は解きやすい離散最適化問題に共通する数学的構造を「離散凸性」として捉え,一般的に適用可能な手法を構築するための枠組みである.離散凸性をもった離散最適化問題は,一般的には解きやすい問題として認識されている.しかし,現実の問題においては,目的関数の一部や限定された状況において離散的な凸性が見られることは多々あるものの,単純な離散凸関数最小化として表現できることは少ない.本研究課題では,入力が時々刻々と変化する状況や,入力自体が複数の選択肢から選択可能な状況を想定し,離散凸性を持った複数の関数の最小解を求める問題を考える.このような問題に対して,関数同士がどのような性質を持てば効率良く最小解が得られるかを調査し,高速に最小解を求めるアルゴリズムの構築を目指す.
本年度は基本的な離散凸関数の一種であるMナチュラル凸関数や,その一般化であるジャンプMナチュラル凸関数,半狭義準Mナチュラル凸関数,整凸関数といった関数について,L1ノルムやL∞ノルムを一定以下に定めた近傍内における局所的な目的関数の状況から,最適解の存在領域を制限できるかについて調査を行った.既に知られている結果として,局所最適解の方向に最適解が存在するという最小解カット定理がある.この定理に加え,Mナチュラル凸関数やその一般化となる一部の関数は,最急降下方向の情報によっても最適解の存在領域を制限できることが分かった.この結果は今後,学会や研究会において専門家と議論を重ね,論文誌に投稿予定である.さらに,離散凸解析に関する理論的な結果を適用する応用先として,複数のM凸関数最小化の特殊ケースである複数の離散資源配分問題についてアルゴリズムの構築に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は文献調査を主に進め,離散凸関数最小化に関する既存結果の見直しと強化に取り組んだ.その結果として,基本的な離散凸関数に関する最小解カット定理の変種を示すという,本研究課題を進めるための第一歩となる結果は得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られた離散凸関数に関する最小解カット定理の変種に関する結果について専門家に意見を伺い,論文誌への掲載を目指す.この結果を利用して,複数の離散資源配分問題やその他の離散凸性をもった最適化問題を高速に解くアルゴリズムの構築を検討する.さらに,理論的な結果を予想するために作成したプログラムを整理し,ソフトウェアの作成も進めて行く.
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Causes of Carryover |
申請者の年度途中での異動による環境の変化により,予定外の学内用務が発生した.その結果,当初予定していた一部の学会・研究集会について参加を見送ったため,当該未使用額が生じた.未使用額は2024年度の学会・研究集会参加のための旅費として使用する予定である.
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