2023 Fiscal Year Research-status Report
微小拡散過程で記述される感染症数理モデルの状態空間表現とその推定法の開発
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23K16852
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
清水 優祐 城西大学, 理学部, 助教 (80805218)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 感染症数理モデル / 確率微分方程式 / 状態空間モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、確率微分方程式で記述される感染症数理モデルを状態空間表現で整理し、感染症時系列データに見られる複雑なランダムネスの解明と共に、流行の全体像をリアルタイムで予測できる手法の考案を目的とする。感染症の感染者数を予測する確率的区画モデルを状態空間表現で記述し、高頻度データに基づく統計解析と制御工学的推定アルゴリズムの融合を図り、推定量がもつ性質を多様な観点から解明することでモデルの正当性を裏付け、疫学データの本質を見抜く高精度な流行予測ツールの開発を行う。 そこで当該年度では、確率微分方程式モデルと感染症数理モデルおよび、状態空間モデルに関する文献調査と、最新の動向調査を重視した。その結果、ベイズ推定を用いたロバスト性を持つ時系列解析の理論を用いることで、推定の精度が向上する可能性があることが判明した。これについては、現在共同研究へと発展している。また、統計解析ソフトウェアRを用いて、考案モデルに含まれるパラメータ推定に関する数値シミュレーションを行った。その結果、パラメータの初期値により推定値が大きく異なることが判明した。これについては現在考察中である。現在は、SEIR型の確率的区画モデルに焦点を当てているが、再感染のあるSEIS型の確率的区画モデルや、人口の流動を仮定した設定といったより複雑なモデルに対しても同様の数値実験を行っていく予定である。また、極めて多くの変数を持つ疫学データから特徴量を抽出するための変数選択手法も考えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は研究開始初年度ということもあり、確率微分方程式モデルと感染症数理モデルおよび、状態空間モデルに関する文献調査と、最新の動向調査を重視した。その結果、一部の内容は共同研究へと発展し、今後の研究の方針が固まりつつある段階となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に則って研究を推進する。具体的には、確率的区画モデルの細分化および感染長期予測と確率的区画モデルに対する変数選択手法の考案に着手する予定である。また、研究が当初の計画以上に進展した場合は、研究成果を学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
当初は専門図書の購入を検討していたが、学術論文を中心とした文献調査を行ったため、当該年度は物品費を使用しなかった。これについては次年度使用額として旅費等に充てる予定である。
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