2023 Fiscal Year Research-status Report
FPGAでのストリーム画像処理による低レイテンシ振動成分抽出システムの実現
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23K16859
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
眞邉 泰斗 長崎大学, 情報データ科学部, 助教 (90908534)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | FPGA / 画像処理 / ストリーム処理 / 振動成分抽出 / オプティカルフロー |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロサージェリーにおける執刀医の振戦抑制システムを慣性センサの取り付けなしで可能とするハードウェアシステムの実現を目的とし、パイプラインでのストリーム処理に適した密なオプティカルフローの推定アルゴリズムの設計を行った。一般にオプティカルフローの推定には、反復計算によるエネルギー最小化や、解像度ピラミッドに基づく山登り法などが用いられるが、これらはパイプラインの構造を複雑にし、レイテンシを悪化させることから、並列にブロックマッチングを行うなど、シンプルに実現できる手法を模索した。また、照明変化や手術器具の複雑な動きに対応するため、輝度変化や回転などに頑健な特徴量を用いたプロトタイプシステムを実装した。これらの成果は、「ながさき半導体産学コネクト」などでデモ展示も行った。 振動抽出のプロトタイプシステムと逆位相波発生装置とを接続するインタフェース回路も実装し、振戦抑制の基礎的な実験を通じて動作検証と制振評価を実施した。この際、振動抽出システムの各パラメータを変更することで、セルサイズやウィンドウサイズの大きさと振動成分の抽出精度の関係などを評価した。また、振戦再現装置を用いて発生させた10 Hzの定常波振動をターゲットとし、その振動成分を約60%減少させる効果があることを実験的に確認した。これらの成果を電子情報通信学会リコンフィギャラブルシステム研究会で発表した。 画像ピラミッドを用いるアルゴリズムをハードウェア実装する場合には、画素の情報を一時的に保存するバッファの容量がネックとなり、高い解像度での処理の妨げとなる問題がある。そこで、適応差分パルス符号変調に基づく画像圧縮アルゴリズムを、単純なパイプラインで実現することでバッファ容量を抑制する手法を提案し、その効果を示した。これらの成果は電子情報通信学会英文論文誌で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像ベースでの振動抽出システムについては、対象物と背景との振動情報の自動分離なども含めて、展示会でデモンストレーションできるレベルのプロトタイプシステムの実装が完成しており、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、振動抽出の効果を定量的に評価するための実験環境を構築するとともに、各種の設計パラメータを適切に定めることで精度を向上させながら、さらなるアルゴリズムやアーキテクチャの改良についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
計画していた特性評価の実験の一部について、シミュレーションによるパラメータの調整作業により時間をかけた方がよいと判断し、令和6年度以降に行うこととしたため。
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