2023 Fiscal Year Research-status Report
Fast Chaos Detection through Data-Driven Approach
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23K16963
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
大久保 健一 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 助教 (70882504)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カオス / エルゴード / 混合性 / Anosov diffeomorphism / SRB測度 / カオス尺度 / 無限測度 / カオス判定指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、カオス現象の理論的な側面に焦点を当てた研究を行った。 1つ目は典型的な強いカオスを示すAnosov性についての研究である。あるハミルトニアンから導出された時間反転対称性を持つシンプレクティック写像がAnosov diffeomorphismであることを示し、混合性を持つことを示した。研究結果を2023年度エルゴード理論研究集会で発表した。さらに九州大学伊都キャンパスで開催された三波 篤郎北見工業大学名誉教授の集中講義に参加して、Anosov性とエルゴード性に関する情報収集を行った。 2つ目は典型的な弱カオス系である無限測度のエルゴード性を示すカオス系におけるカオス判定指標の理論値に関する研究である。時系列データからカオス性を判定する指標の1つにカオス尺度があげられる。弱カオス性を示す無限測度のエルゴード的カオスの代表的な写像であるブール変換と変形ベルヌーイ写像において、時系列データの長さが無限大の場合に理論値が0となることを示した。結果を日本応用数理学会第20回研究部会連合発表会で発表した。 カオス判定指標の研究に関しては、カオス尺度を用いた研究だけにとどまらず、機械学習を用いた研究手法についての情報収集も行っている。情報収集のために日本応用数理学会環瀬戸内応用数理研究部会第27回シンポジウムに参加して機械学習に関する研究を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間反転対称性を持つ写像における混合性の証明に関しては論文を投稿予定であり、無限測度のエルゴード系におけるカオス尺度の理論値に関しても証明ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は運動量pの反転についての時間反転対称性をもつシンプレクティック写像における緩和現象について研究を行い、多粒子系で相互作用が存在し、時間反転対称性をもつ写像の混合性についても研究を行いたい。 カオス判定指標の研究に関しては、機械学習によるアシストがある場合に高速にカオス性を判定できる方法の研究を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究を継続するために次年度使用額が生じている。使用計画としては国際会議等への参加に関する旅費とタブレット端末の購入費用、書籍の購入費用、論文のオープンアクセス費用があげられる。
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