2023 Fiscal Year Research-status Report
A Platform for Detecting Postpartum Depression through Passive Mobile Sensing
Project/Area Number |
23K17004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 勇毅 東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (80816687)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | モバイルセンシング / 産後うつ / パッシブセンシング / コンテキスト認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、産後女性の約15%が発症するうつ病の一つである、「産後うつ」を低負荷かつ早期に発見するシステムの開発である。本研究では、スマートフォン等に搭載されたセンサ群(位置情報や加速度、環境音、アプリの利用履歴など)からデジタルバイオマーカー(Digital Bio Maker: DBM)として産後うつに関連するセンサデータを日常生活中より自動収集し、次にそのDBMと機械学習を組み合わせ産後うつの早期発見を実現する。具体的には、次の4つの研究課題を解決することで、本システムを実現する。まず【研究課題1】として、産後うつ関連情報収集システムの設計と実装を行う。次に【研究課題2】産後うつ関連情報の収集および分析を行い、【研究課題3】産後うつ検出モデルの構築と評価、【研究課題4】産後うつ検出モデルの実証実験を行う。 今年度は予定通り【研究課題1】に取り組んだ。まず、産後うつ関連情報収集システムの設計を行い、その成果を国内会議(情報処理学会・全国大会)にて発表し議論した。また、産後うつ関連情報収集システムの実装も進め、その一部を国際会議にて発表した。スマートウォッチを用いたセンシング基盤は、オープンソースのパッシブ・モバイルセンシング基盤であるAWARE Frameworkに統合され、国際会議(ACM UbiComp)の併設ワークショップにおいて発表された。またウェアラブルバイスを用いた乳幼児の行動認識手法を国際会議(ACM ICMI)のLate-Breaking Results セッションで発表した。本行動認識手法では、乳幼児の胸部に搭載した加速度センサのみを用いて、乳幼児の典型的な8種類の日常行動を、80%近い精度で分類できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、計画通り【研究課題1】に取り組んだ。PMSを用いた産後うつ関連情報収集システムの設計およびプロトタイプシステムの実装は完了し、現在予備実験および予備実験結果を元にシステムの修正を行っている。プロトタイプシステムでは、スマートフォン・スマートウォッチベースの基本的な行動センシング機構に加えて、屋内の行動センシング機構を備えている。スマートフォンベースの行動センシング機構はオープンソースのPMS基盤であるAWARE Frameworkをベースに開発し、複数センサデータを継続的に収集可能な環境が整っている。屋内行動センシング機構は、Raspberry Pi上に構築し、オンデバイス機械学習を用いた環境音のラベル付けと、複数の環境センサデータ(気温や湿度、気圧、明るさ、二酸化炭素など)を収集できる。また設置時の負荷を下げるために、モバイルネットワーク経由でサーバに計測データをアップロードする機能を備えている。屋内行動センシング機構の基本機能は完成しているが、長期計測時の排熱問題が発生したため、現在ケースや計測手法の最適化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降も初期の計画通り【研究課題2-4】を進める予定である。【研究課題2】における、実験参加者の募集には時間を要することが想定されるため、予備実験および実験参加者の募集時期など入念に計画した上で進める。
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Causes of Carryover |
産後うつ関連情報収集システムの屋内行動センシング機構に、長期計測時の排熱問題が発生したため、該当箇所の改修を行っている。屋内行動センシング機構は、データ収集実験用に複数個制作する予定であったが、改修作業に伴い複数個の制作時期および予備実験を遅らせたため、次年度使用額が生じている。
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