2023 Fiscal Year Research-status Report
リカレント教育のためのグラフ文書を用いたデータ駆動型の学習環境構築
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23K17020
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
柴田 健一 玉川大学, 工学部, 講師 (90796070)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オンライン学習環境 / ラーニングアナリティックス / 共同作業支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
リカレント教育では異なる背景の社会人同士が学び合うため,他者理解を促す学習支援環境が求められている.本研究は,学習者間の概念共有のためにグラフ文書を利活用した共同作業支援環境を構築し,構築した環境が学習者の知識獲得高度化につながるか実証研究を行うことが目的である.本提案手法を評価することで,概念共有による学習者間の連携促進が,知識獲得の高度化にいかに貢献し得るかを明らかにする.本研究では,学習者間の概念共有のためにグラフ文書を利活用した共同作業支援環境を構築し,構築した環境が学習者の職務に必要な能力とスキル向上につながるか実証研究を行う.本研究目的を達成するために,以下に示す3点の開発項目に取り組む. 1) 学習者の知識及び概念をグラフ文書で共有するためのツールを開発 2) 学習者間で概念共有するための共同作業支援環境を構築 3) グラフ文書を利活用した関係者間の概念共有の有効性を検証 R5年度はリカレント教育現場にてトライアルとしての評価実験が実施可能な環境を整備し,小規模な評価実験としてグループワークを実施した.R5年度の成果概要として,リカレント教育現場でのトライアルとしての評価実験から,1)テキスト文書よりもグラフ文書をオンライングループワークに用いる方が,ディスカッションの質向上に有効である見通しを得た. 2) テキスト文書よりもグラフ文書の方が,他者が作成した文書内容を理解しやすい可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度は「研究実績の概要」で述べた開発項目のうち,「1) 学習者の知識及び概念をグラフ文書で共有するためのツール」を「2) 学習者間で概念共有するための共同作業支援環境」として運用できるフィールドの整備,及び協力者である2団体の実験フィールドで実証実験が可能な環境を整えることに注力した. 具体的には,研究協力者が中心に開発するグラフ文書共同編集ツールとオンラインミーティングツールを用いて,オンライン環境で複数人がグラフ文書を取り扱える環境を整備した.また,研究協力者である2団体それぞれで小規模なグループワークの評価実験を行い,「研究実績の概要」で述べた成果を得た. 初年度は環境を整備するスケジュールであったため,当初の予定通り,おおむね順調に進展していると言える.以下,年次研究計画の項目ごと述べる. 1) 概念共有ツール:グラフ文書を用いたグループワークの実施ができる環境を整備した.またグラフ文書共同編集ツール内で新たにAPI経由で生成AIモデルと連携できるようになった.本研究では学習者ごとの知識及び概念をモデル化することで学習者間での概念理解促進を目指している.生成AI技術を活用しながら本目的達成を目指す. 2) 共同作業支援環境:グラフ文書共同編集ツールで作成したグラフとオンラインミーティングツールで収集した音声と動画が分析できる環境を整備した. 3) 有効性検証:研究協力者である2団体で小規模なグループワークを実施した.結果,テキスト文書よりもグラフ文書の方が,ディスカッションの質向上と他者が作成した文書理解が容易となる可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度は以下に示す研究計画に則って予定通り推進する. 1) 概念共有ツール:グラフ文書共同編集ツール内で新たに連携できるようになった生成AIモデルを活用しながら,学習者ごとの知識及び概念を表現する.まずは,昨年度に実施したグループワークのデータを用いて学習者ごとの特徴を分析し,知識表現モデルのベースを設計する. 2) 共同作業支援環境:蓄積した学習データを次の学習(グループワーク等)に簡易に活用できる仕組みを構築することで,学習支援環境を発展させる. 3) 有効性検証:昨年度に実施した研究協力者である2団体で継続してグループワークを実施する.片方の団体は,基本同一職種のメンバーで構成されており,もう片方は多様な職種のメンバーで構成されている.各団体ごとでの評価実験に加え,異なる団体メンバー同士で実施した際のグループの共同学習プロセスを分析することで,提案する学習支援環境の有効性を検証する. 研究開始時から協力いただいている2団体に加え,新たな協力団体の獲得も目指す.
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Causes of Carryover |
有効性検証のため物品費及び旅費及び人件費・謝金を計上していたが,初年度は小規模な評価実験として実施したため物品費及び旅費及び人件費・謝金が想定より少なかった.翌年度は実験数や規模を拡大する予定のため,R5年度分とR6年度分の予算を合わせて使用する.
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