2023 Fiscal Year Research-status Report
土壌生成最初期の先駆植物による粘土鉱物生成過程の解明
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23K17031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山北 絵理 九州大学, 農学研究院, 特任助教 (10929607)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | コケ / 火山灰 / 土壌生成初期 / 先駆植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、土壌形成の最初期に遷移するコケや維管束植物が、溶岩の風化と二次鉱物の生成に及ぼす作用を解明することである。そこで、溶岩上に最初に遷移した事が報告されているエゾスナゴケと草本植物であるイタドリとススキを火山噴出物を用いて栽培し、元素の溶出量、元素の溶出速度および生成される二次鉱物(酸化物・粘土鉱物)の分析を行うことを目指している。 本年度はイタドリとススキを用いた栽培実験を2回行い、栽培系の改善を行った。栽培土として桜島の火山灰を用いたが、1回目の栽培実験では、火山灰に混入していた種子などが発芽してしまうという問題が生じた。これを改善するために2回目の栽培実験では、火山灰の洗浄を行い、有機物を取り除く作業を行った。これにより、混入していた種子の発芽を抑え、約2か月間の栽培を成功させることができた。回収した植物体と栽培後の火山灰を乾燥させ、蛍光X線分析によって元素量分析を行った。 初期計画ではエゾスナゴケも同様に栽培実験を行う予定だったが、在庫数の関係により栽培実験を行うのに十分なコケを確保することができなかった。そこで、九州大学福岡演習林にて採取したジャゴケと土壌を用いて、分析手法を検討することとした。ジャゴケは火山灰土壌との関係が指摘されている種であり、また種の同定が容易であることなどから、火山噴出物による栽培結果の検討のサンプルに適していると考えた。土壌サンプルを風乾後、選択溶解法という手法を用いて、鉄・アルミニウムの含量を定量した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に種子からのイタドリとススキの火山灰を用いた栽培に成功することができ、サンプルを回収することができた。また、コケについては、予定した種を購入して栽培することはできなかったが、野外採取した試料を用いて、分析手法を検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は回収した植物体および火山灰サンプルの元素量変化や二次鉱物生成の分析を進めるとともに、コケを用いた栽培実験を行い、これらの比較を行いたい。また、同様の手法を用いて野外採取したサンプルについても分析を行い、コケ植物と生育基物との相互関係を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は所属研究室の備品である恒温室を栽培に利用することができたため、当初計上していた予算を次年度に繰り越すこととなった。
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