2023 Fiscal Year Research-status Report
Global quantification of bio-albedo effect by fusion use of satellite observation and numerical modeling
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23K17036
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
大沼 友貴彦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 宇宙航空プロジェクト研究員 (30800833)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 雪氷学 / 雪氷微生物 / 数値モデリング / 衛星観測 / 気候モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、開発中であったクリオコナイトホール(氷河上で形成されるメルトポンド)の深さ変化を再現する数値モデル(cryoconite hole model)の研究を進めた。また、Landsat-8やSentinel-2などの複数の衛星を組み合わせて氷河アルベドの全球長期データセットをデンマークの氷河研究グループとの共同研究により構築した。これらの成果はまとめられ、それぞれ国際誌に論文として出版した。加えて、全球気候モデルMIROC6の積雪水量を再解析データから得られた積雪水量で拘束した気候シミュレーションを実施し、融雪期の地表面アルベドの低下が20世紀の気温トレンド上昇を支配する要因の一つであることが示唆された。この成果は国際誌に投稿し、査読中である。これまでの研究成果を発表するため、5月に国際学会EGUで現地発表を実施し、海外研究者との交流を深めた。また、イタリアの海外若手研究者がJAXAに滞在し、研究実施者のモデルとの将来の相互比較を見据えて、衛星観測から氷河上のバイオマスを定量化する手法(Glacier algal index)を開発した。これらの開発したモデルや衛星観測手法を検証するためにアラスカのグルカナ氷河で2週間の観測を実施した。研究成果の社会実装に向けて、JAXAの水循環モニタリングシステムおよびMIROC7に実装予定の次世代陸域モデルILS(Integrated Land Simulator)への研究実施者の雪氷生物モデル導入を進めている。研究費は、主にこれらの論文出版費用、英文校正費用、国外旅費に使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では交付申請時に以下を目的として掲げている。 1. 衛星観測による雪氷微生物活動の時空間的な定量評価とモデル開発 2. 気候モデルを用いたバイオアルベド効果の影響評価と社会実装 1については、雪氷微生物活動を時空間的に評価する衛星観測手法(Glacier algal index)および数値モデル(cryoconite hole model)を開発した。また、全球の氷河アルベドの衛星観測データセットを構築した。 2については、気候モデルが計算した陸域アルベド変化による影響評価研究を論文として投稿した。また、研究成果の社会実装に向けて、雪氷生物モデルの次世代陸域モデルILSへの導入を進めている。 以上より、研究は概ね順調に進んでいると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き雪氷生物に関連する数値モデルおよび衛星観測手法の開発を進めていく。加えて、新しい積雪密度および積雪アルベドの計算スキームの陸域モデルへの導入を進め、積雪物理過程に基づいてバイオアルベド効果を計算する陸域モデルへ発展させる。また、氷河スケールでの衛星観測とモデルの相互比較を実施するために、雪氷生物モデルを導入した陸域モデルの計算空間解像度を数十mスケールに高解像度化する手法を検討する。これによって、衛星観測とモデル計算から得られたバイオアルベド効果の時空間変化を氷河域で詳細に検証できるようになると考えられる。このような詳細な検証が実施できれば、開発したモデルの全球展開も妥当性を持って進めることができると期待される。
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Causes of Carryover |
コロナ禍前の状況に戻りつつある昨今の状況を踏まえ、予定していたワークステーションを購入する代わりに国外の研究者のとの国際共同研究の連携を強化することを優先した。そのために、計上していた物品費の大半を旅費として使用した。その旅費の一部を使用して共同研究でイタリアに渡航予定であったが、別予算により共同研究者のイタリア人研究者がJAXAに滞在することになったため、渡航で必要な予算を翌年度以降にまわすことにした。また、当初予定していた論文の出版費(約20万円)が他予算で支払われることになったため、その他の予算の一部も翌年度以降にまわした。 2024年度は、海外の氷河観測で必要な物品および旅費として予算を使用予定である。また予算の使用状況に応じて海外の研究機関への短期訪問を検討しており、その訪問で旅費を使う可能性がある。他にも現在投稿中および投稿予定の論文の英文校正費、出版費として予算を使用する予定である。
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Remarks |
研究業績をまとめたWebサイト(Research mapのURLを記載した)
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[Presentation] Spatiotemporal changes in communities of snow-ice microbes living on Gulkana Glacier, Alaska2023
Author(s)
Ono, M., Uetake, J., Tsushima, A., Onuma, Y., Kobayashi, K., Seto, D, Usuba, S., Konishi, F. and Takeuchi, N.
Organizer
EGU General Assembly 2023
Int'l Joint Research
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