2023 Fiscal Year Research-status Report
EcoHealthの視点に基づく、病原体伝播におけるヌタ場の役割の解明
Project/Area Number |
23K17073
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山口 英美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 研究員 (30782247)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヌタ場 / 野生動物 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヌタ場が野生動物における病原体の種内伝播、および種間伝播に重要な役割を担うのかを検証するため、ヌタ場における動物由来の細菌の分布状況を調査するとともに、ヌタ場で観測される細菌叢の特性が、ヌタ場を利用する野生動物の種類や利用状況を反映している可能性を検討する。 今年度は、筑波山系南端における山塊内の森林を踏査し、ヌタ場の探索を行った。その結果、野生動物が利用していると思われる35カ所のヌタ場を発見した。この内、20カ所のヌタ場で定点調査を実施するための手続きを行政等に行い、承諾を得た。また、この内3つのヌタ場において予備調査としてカメラトラップ調査とヌタ場の泥水のサンプリングを8週間に亘って実施し、遺伝子検査における核酸の抽出方法やカメラトラップによる野生動物の行動パターンの取りまとめの方法について事前に検討を行った。 2024年度は、20カ所全てのヌタ場において、約1年間カメラトラップ調査を実施し、野生動物の利用状況を明らかにする。カメラトラップ調査と並行して、4カ月に1回の頻度でヌタ場の泥水とヌタ場周辺の土壌をサンプリングし、16S rRNAのメタゲノム解析を実施することで、これらのサンプルに含まれる細菌叢の構成を明らかにする。カメラトラップ調査とメタゲノム解析の結果を基に、各ヌタ場の野生動物による利用状況と各時点におけるヌタ場の細菌叢の構成の関連性について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、今年度は調査地点の選定と調査のための行政手続き、調査、試験手法の検討を行った。いずれも完了しており、調査開始の目途もたっていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
全調査対象のヌタ場において、野生動物のカメラトラップ調査を実施するとともに、定期的にヌタ場の泥水をサンプリングし、遺伝子検査によって細菌叢の構成を明らかにすることで、野生動物による各ヌタ場の利用状況とヌタ場の細菌叢の関連について検討する。
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Causes of Carryover |
購入した物品が想定よりも安価だったため若干の残額が生じた。残額分、野外調査用消耗品の購入数量を増やし、より安全な調査を実施できるようにする。
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