2023 Fiscal Year Research-status Report
2020年代のイスラーム経済:マレーシア発ハラール経済イニシアチブの戦略と展望
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23K17114
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桐原 翠 立命館大学, 立命館アジア・日本研究機構, 研究員 (30895909)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハラール経済 / ハラール産業 / マレーシア / イスラーム世界研究 / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2020年にマレーシアが提唱した「ハラール経済」といった、経済政策の新動向を探求するものである。2000年ごろからマレーシアを起点に形成されてきたハラール食品産業は、約20年ほどで世界的に大きな市場として機能するまでに成長した。その成長過程において、様々な出来事が生じたが、中でも感染症の流行は国際的にもマレーシアの国内的にも産業や食へ大きな変化を生み出すこととなった。この世界的な変化の中で、マレーシアは「ハラール経済」政策を提唱している。これはどのような政策なのか、またこの政策は現状にどのような変革をもたらすことになるのかを、検討することが本研究の目的である。 さらに、マレーシアの新たな経済政策について分析することで、現代イスラーム世界におけるイスラーム経済の動態を明らかにすることができると考えられる。
本年度の研究成果は、以下3点にまとめることができる。①理論の分析:マレーシア政府が新たに進めているハラール経済に関する書籍やデータの分析を行い、ハラール産業の進展と、その背景などの見方をまとめた。②学会への参加:日本中東学会第39回年次大会に、対面で参加し、口頭発表を行い、質疑応答においてハラール認証規格や産業に関する有益な知見を得ることができた。③フィールド調査:11月末にマレーシアで開催された国際シンポジウムに参加し、研究発表を行った。加えて、ハラール経済に関する意見交換を現地の研究者と行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、「ハラール経済」の枠組みを把握することが大きな目的であった。ハラール経済に関する把握は、研究発表や国際シンポジウムへの参加、フィールド調査の結果から、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、主にハラール経済に関する事例に着目する。マレーシアへのフィールド調査を通じて、ハラール経済の具体的な事例を収集したいと考えている。ハラール製品を取り扱う起業家や決済システム等の変化等、ムスリムの生活に結びついている部分で、ハラール経済の政策がどのように動いているのか、検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究対象が、2020年にマレーシアが提唱したハラール経済の動向であることから、2023年度内に実施できる調査内容を網羅した。そのため、2024年度は、ハラール経済の事例を集めるため、文献の購入やフィールド調査の実施を充実させたいと考えている。
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