2023 Fiscal Year Research-status Report
Production of technetium-99m in high radionuclidic purity using naturally occurring molybdenum
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23K17147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 宰雄 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50964764)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 天然モリブデン / モリブデン99 / テクネチウム99m / ニオブ / 光核反応 / 活性炭 / 分離精製 / 電子線形加速器 |
Outline of Annual Research Achievements |
過テクネチウム酸イオンに高い選択性を示す吸着剤(以下、テクネチウム選択性吸着剤という)の吸着能を定量的に記述する数理モデルを考案した。このモデルは、光核反応由来モリブデン99のように比放射能が低い場合であっても、テクネチウム選択性吸着剤を用いることにより、十分な放射能濃度のテクネチウム99m溶液が得られる現象を定量的に説明できる。これまで、テクネチウム選択性吸着剤の必要性に関する議論はなされてきたが、低比放射能モリブデン99への応用可能性について定量的かつ直感的に説明できるモデルは無かった。そこで本研究では、テクネチウム99mの吸着率と溶出率を統合した回収率の概念を導入し、モリブデン99の放射能を独立変数とするテクネチウム99mの放射能濃度のモデルを構築した。
また、本年度の研究では活性炭の過テクネチウム酸イオン吸着原理を説明できる理論モデルを考案した。活性炭の過テクネチウム酸イオンに対する高い選択性については長年報告されてきたが、その原理はまだ明らかになっていない。今回開発した理論は、テクネチウム99m溶液をニオブ化学種から分離精製するニオブ除去カラムの開発に役立つと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テクネチウム選択性吸着剤の数理モデル並びに過テクネチウム酸イオンの活性炭への吸着理論モデルなど、本研究課題の主幹をなすモデルを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
天然モリブデンの光核反応におけるモリブデン同位体及びニオブ同位体等の放射性核種不純物の生成量を計算する。具体的には、モンテカルロシミュレーションと密度変化係数(density change coefficient)を利用して放射性核種不純物の収率を算定し、それぞれの不純物の分離精製時の放射能を求める。その後、活性炭の過テクネチウム酸イオン吸着原理に基づき、ニオブ除去カラム用吸着剤および溶出剤を選定し、ニオブ除去装置の概念設計を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではニオブ除去装置の開発を予定していたが、より高い装置性能を得るために、理論モデルの構築を優先して実施した。その結果使用しなかった装置開発経費は、次年度以降に執行する予定である。
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Research Products
(1 results)