2023 Fiscal Year Research-status Report
心理評価に基づく音のわかりやすい可視化:法科学応用を例に
Project/Area Number |
23K17161
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
岡田 昌大 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80874502)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | スペクトログラム / 再割り当て法 / 位相 / 話者弁別課題 / 心理評価実験 / 信号検出理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、再割り当て法により、音の可視化表現の一つであるスペクトログラムに音の位相情報を与えることで、スペクトログラムを見やすく再成形する。そして、心理評価実験を通して、位相情報が付与されたスペクトログラムと話者弁別課題の成績との関係を調べる。 令和5(2023)年度は、実験計画を再考し、研究開始時は2段階で実施する予定であった心理評価実験を1つにまとめ直した。また、スペクトログラム画像として実験参加者に呈示する音声を選定し、通常のスペクトログラムと、再割り当て法に基づいて再成形したスペクトログラムを作成した。その後、2つのスペクトログラム間の話者弁別課題の成績差を調べるために、予備実験を行った。そして、予備実験の結果から効果量の大きさを予測し、本実験を行うために統計上必要なサンプルサイズを計算した。 また、位相情報と話者弁別との物理的な関係を調べるため、予備的に音声資料を分析した。その結果、予備分析に留まらず、位相情報は物理的に話者弁別に効果的であることを論文として報告することができた。 さらに、心理評価実験後に得られる結果をより深く分析できるように、スペクトログラムの作成に使用した音声に対して、機械による話者識別を行った。その結果、同一人の音声は高いスコアを、別人の音声は低いスコアを出力した。つまり、機械による処理としては、話者を識別しやすい音声であることが示された。本研究は人の目視による話者識別に焦点を当てているが、機械による話者識別とも関連付けながら考察を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心理評価実験を1つにまとめ直したものの、実験の準備は順調であり、変更後の計画通りに進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6(2024)年度は、変更後の計画通り、参加者を募り、心理評価実験を行う。また、並行して引き続き、実験後に得られる結果をより深く分析できるように、様々な角度から追加の分析方法を検討する。
|
Causes of Carryover |
研究開始時は心理評価実験を2段階に分けて行う予定であったが、必要な人数の参加者を集めることは難しいと判断し、1つの実験にまとめ直して、計画を変更した。そのため、当初1段階目の実験にかかる予定であった費用が次年度使用額として残っている。この費用は令和6年度に交付される費用と合わせて、1つにまとめ直した実験に使用する計画である。
|