2023 Fiscal Year Research-status Report
がん治療効果予測を可能とする複合ナノ粒子型細胞造影剤の創製
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23K17218
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
猪瀬 智也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (10930448)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / 金ナノクラスター / リン酸カルシウム / マンノース / X線CT造影 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん免疫療法において治療効果を予測する指標として有用な細胞を定量評価できる複合ナノ粒子型細胞造影剤の創製を目指す。具体的には、腎臓から排泄可能なシングルナノメートルサイズの金ナノ粒子(金ナノクラスター)とリン酸カルシウムの複合ナノ粒子の作製と評価を行い、同複合ナノ粒子の設計指針を明らかにするとともに、その効果を細胞・動物実験により実証する。 本年度(2023年度)は、医薬品を原料に用いた共沈法により複合ナノ粒子の作製に取り組んだ。6種類の医薬品注射液から調製したリン酸カルシウム過飽和溶液に金ナノクラスター懸濁液を混合し、37℃で60分間静置することで、金ナノクラスターを含むリン酸カルシウム複合ナノ粒子を作製できた。その際、作製時の金濃度を制御することで複合ナノ粒子の直径を制御可能(30~100 nm)であることを見出した。また、複合ナノ粒子の蛍光能を評価したところ、金ナノクラスター単体に比べて、飛躍的に向上していることが明らかとなり、X線CT造影と蛍光イメージングのバイモーダルイメージング剤としての利用の可能性が示された。さらに、金ナノクラスターに細胞標識能を付与するため、細胞標識剤の候補分子であるマンノースの修飾にも取り組んだ。具体的には、マンノース誘導体であるマンノサミン(アミノ基含有)を、アミド結合を利用して、金ナノクラスター表面(カルボキシル基含有)に修飾した。この際、マンノサミン量を変化させて修飾を試みた。FTIRや糖結合性タンパク質等の評価により、マンノース修飾量の異なる金ナノクラスターが得られたことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は主に、金ナノクラスターおよびリン酸カルシウムの複合ナノ粒子作製ならびに構造解析を行い、複合ナノ粒子の粒子径制御手法を確立することができた。また、複合化による金ナノクラスターの蛍光能向上を確認し、バイモーダルイメージング(X線CT造影および蛍光イメージング)剤としての利用可能性も明らかにした。学術論文誌や学会での成果発表も行っており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
マンノース修飾金ナノクラスターとリン酸カルシウムの複合ナノ粒子を作製し、細胞の標識能、安全性等を確認することで、機能の実証を行っていく。
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Causes of Carryover |
複合ナノ粒子の作製に注力したため、細胞実験等は次年度に実施することとした。繰越金は、次年度に延期した計画を実施するために使用する。
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