2023 Fiscal Year Research-status Report
超音波散乱・流体力学特性解析による血液粘弾性イメージング
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23K17225
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大村 眞朗 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (90897703)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 医用超音波 / 高時間分解能イメージング / 散乱 / 流体力学特性 / 血液 / レオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
血液エコーを詳細に解析するために,血管内に定在した周囲組織エコー(クラッタ成分)を抑制するクラッタフィルタが必須である.これまでにクラッタフィルタを考慮した高速超音波イメージングにおいて,超音波伝搬方向に対する周波数特性(後方散乱係数)を解析することで,低ずりにおける血しょう中の赤血球凝集・連鎖および高ずりにおけるそれらの解放(赤血球単体)状態の評価可能性を検討してきた.一方,それら状態を指標化する上で,散乱源となる大きさを数 μm~10 μmのスケールで高精度に推定するためには超音波プローブの受信帯域の制約を受ける.当該年度で新たに広帯域プローブの複数周波数励起条件を検討し,広帯域・時間分解能・感度を保持したロバストな後方散乱係数解析法を提案した. 提案する2周波数励起シーケンス(dual-f)を従来の短パルスの単一周波数励起条件(single-f)と比較し,粒径が既知なファントム・摘出ブタ血液サンプル・ヒトin vivo上腕脈管において有用性を評価した.dual-fでは,血液レオロジー特性に関わる指標(血球凝集数・充填率)の空間のばらつきが減少し,single-fと比べて推定値の安定化をもたらした.さらに,in vivo脈管の評価において,single-fに比してdual-fの周囲組織エコーと血液エコーのコントラスト比(画質性能)は約10 dB,推定に用いる超音波伝搬方向の周波数レンジ(帯域幅)は約50%増加することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画の①計測条件および解析アルゴリズムの最適化~周波数解析の広帯域化を目指した計測~について,実験的検討から探索的臨床データの収集を一貫して進め,随時課題をフィードバックおよび解決しようと試みているため.
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Strategy for Future Research Activity |
年度計画における②血液と流れ場の応答解析~試料作製手法の検討と内圧計測~について,低流速の上腕脈管エコーにおいてクラッタフィルタの最適化を行うために,特に低流速(低ずり状態)や血圧計測時の減圧条件を再現した追加の実験的検討を行う.また,疾患を伴う症例の生化学検査や高周波リニアプローブによる末梢血管の評価結果と比較し,血液レオロジー特性に関わる推定値の妥当性および上腕脈管などにおける有用性評価を行う.
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