2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K17227
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
盛田 健人 三重大学, 工学研究科, 准教授 (40844626)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 深層学習 / 異常検知 / コンピュータ支援診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,頭頸部がん患者の頭部CT画像と放射線治療計画で作成した線量分布図を用いた異常検知により,放射線治療前に顎骨骨髄炎の発症リスクを予測することである.さらに,発症リスクの高い患者については,より発症リスクの少ない代替の治療法の検討やリスクを低減できる放射線治療計画の再立案することで顎骨骨髄炎の発症を予防することを目的としている.2023年度には,異常検知による顎骨骨髄炎発症有無の推定を主に行う予定であった.この計画に対し,AnoGANを用いた異常検知により,頭頸部CT画像と放射線照射量図のペアから顎骨骨髄炎の発症有無の推定を行い,AnoGANの学習に使用した顎骨骨髄炎非発症例との距離から発症リスクを数値化できることを確認した.また,AnoGANで抽出した画像特徴量と患者背景情報を用いた統計的機械学習による発症有無の推定についても検討した.これらの結果を国際会議1件で発表し,2024年度の国内学会での発表を投稿済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度における本研究の実施項目として挙げている「異常検知による顎骨骨髄炎発症有無の推定」,「顎骨骨髄炎発症リスク推定」の2項目について,進捗状況をそれぞれ述べる. 【異常検知による顎骨骨髄炎発症有無の推定】放射線性顎骨骨髄炎(Osteoradionecrosis of the jaw, ORNJ)非発症患者369名の頭頸部CT画像と放射線照射量図(RT画像)を用いてAnoGANを学習し,非発症患者59名と発症患者58名のデータを用いて学習モデルの検証を行った.その結果,ROC-AUCが0.72となり,CT画像のみを用いて学習したAnoGANによるROC-AUC 0.53を大幅に上回ったことからRT画像が予後予測へ大きく寄与することが確認できた.また,F値ではCT・RT画像を併用した場合で0.64,CT画像のみを用いた場合では0.68と大きな差は見られなかったが,ResNet50では0.51となり,より多くのデータで学習を行える異常検知が有用であることが確認できた. 【顎骨骨髄炎発症リスク推定】前述のAnoGANの学習により,検証データ群内でのORNJ発症・非発症群間の分布に差が見られたため,評価データと各群間でのユークリッド距離などからリスクを数値化できることが確認できた.しかし群間の距離が近く,算出したリスク値は臨床利用には不十分であった.そのため,AnoGANにより抽出した異常度と,患者背景情報(年齢,抜歯の有無,喫煙の有無など)を用いた統計的機械学習によりORNJ発症群・非発症群間の識別境界を明確にできるよう実験を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
【異常検知による顎骨骨髄炎発症有無の推定】AnoGANによる推定ではROC-AUC0.72,F値0.64程度であるため,異なる異常検知手法により精度の改善を目指す.また,後述の顎骨骨髄炎発症リスク推定も勘案し,異常検知と対照学習などを組み合わせてORNJ発症群・非発症群間の距離を大きくすることができる手法を考案する. 【顎骨骨髄炎発症リスク推定】CT・RT画像のみを用いたORNJ発症有無の推定では臨床利用に十分な精度が得られなかったため,患者背景情報も併用した推定手法を取ることとした.現状では,一般的な2クラス分類を行う機械学習モデルによりORNJ発症有無の推定を行っているため,リスク評価モデルの学習にORNJ発症,非発症患者をそれぞれ58,59名分しか用いることができず算出したリスク値の信頼性が低いと考えている.2024年度には患者背景を考慮したAnoGANの学習や,One Class SVMによる異常検知によりリスク値の精度と信頼性の向上方法について検討する. 【骨髄炎発症範囲の推定】AnoGANのDiscriminatorには一般的なCNNが使用されているため,CAM(Class Activation Mapping)により異常(ORNJ)部位が可視化できるかを確認する.また,その結果を勘案し,最終年度の研究実施内容の詳細を決定する.
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Causes of Carryover |
予定していた国内学会での発表を行わなかったため,次年度使用額が生じた.2023年度に発表する予定であった内容について2024年5月の日本生体医工学会で発表するため,2024年度に旅費として使用する.
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