2023 Fiscal Year Research-status Report
Creation ofthe Anthropocene Geography and Environmental Studies
Project/Area Number |
23K17279
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 和芳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60508167)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 利之 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (10377997)
中西 利典 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 准教授 (10462582)
瀬戸 浩二 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60252897)
辻本 彰 島根大学, 学術研究院教育学系, 講師 (60570554)
鹿島 薫 島根大学, エスチュアリー研究センター, 客員研究員 (90192533)
井上 淳 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90514456)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2027-03-31
|
Keywords | 人新世 / 人工水域 / 水堀 / 堆積物 / 都市環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は地球科学に関連する水域堆積物を用いた古環境研究の裾野を広げ、新しい地質時代『人新世』という時代を紐解くための研究分野に新視点・新領域をもたらすための戦略的な取り組みとして進める。具体的には、日本の都市中心域に存在する水堀等の人工水域において多層的なコア研究を実施して、近過去における通史的な都市環境の精密な復元をおこなう。このことによって、都市環境の成熟度とそのリスクについて議論するとともに、都市環境の形成・発展・維持に対する政策や方針についての妥当性を検証する。 本研究の方法は、国内の都市中心域にいまだ人工水域が残存する複数の水堀を対象として、全長最大2メートルの堆積物を連続採取して、過去最大400年間程度の環境変遷史を解明する古環境復元を実施する。その際、これまで研究分野として一切の視点を有さなかった人工水域における都市環境の精密復元のため以下の挑戦的な3つのリサーチクエスチョンに挑む。①堆積物は安定的に過去の環境を記録しているのか?②これまでの地球科学アプローチが援用できるのか?③堆積物には都市の何が記録されているのか? 2023年度は採択初年度ということで、研究組織として研究フロー(①堆積物の採取、②編年の作成、③古生物学分析および地球化学による精密古環境復元、④都市環境史の作成)の確認のための全体会議を実施した。また、予備的調査を実施してきた駿府城(静岡県)および岡山城の水堀堆積物についての研究を進めることとした。さらに、2年目の2024年度に実施する松江城(島根県)、皇居外苑(東京都)について浚渫の有無を含めた事前調査を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、初年度ということで、研究組織に加わっている全メンバーで全体打ち合わせを実施した。その際、①堆積物の採取、②編年の作成、③古生物学分析および地球化学による精密古環境復元、④都市環境史の作成という研究手法について、今一度役割分担を明確化しながら、分析スケジュールについて相互確認した。 予備的に調査した駿府城(静岡県)、および岡山城について採取したコア分析を進め、2024年度中にそれぞれ論文投稿することとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
日本では古くから城が築かれてきた。時代が下り山城から平城へと場所が移行するにあわせて、要塞拠点化のために城の周りに堀がつくられた。平城を築いた場所の多くは今では官公庁街や公園に姿を変えたもののいまだ都市の中心部に位置する。現在全国の20か所程度で、水堀のまま存在したままの「都心のオアシス」となっている。今後、浚渫が行われていない地域の水堀についての事前調査を進めながら、年間2か所程度での掘削調査およびコア解析研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
2023年に実施する掘削調査を2024年にずらしたため
|