2023 Fiscal Year Research-status Report
連続量変分量子アルゴリズム向けプラットフォーム確立とツールボックス開拓
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23K17300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 俊太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80737304)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 量子情報 / 量子アルゴリズム / 量子光学 / 連続量量子情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近未来の小規模な量子コンピュータの実社会応用へ向けた新たな突破口を開くべく、「連続量変分量子アルゴリズム」を開拓することである。この領域は、連続量のアナログ性を活かすことで量子ビットでは達成できない計算能力を発揮する可能性を秘めた、開拓に値する領域である。このため、近年開発した連続量変分量子アルゴリズムを実行できる日本発・世界唯一の光量子コンピューティング・プラットフォームを進化させて活用し、連続量変分量子アルゴリズムの新たな可能性を探索するとともに、その計算性能を最大化するツールボックスを開発および実機検証する。
2023年度は、連続量の手法を量子機械学習へと応用する手法について研究を進めた。量子機械学習は、量子ビットを用いた理論・実験的研究は盛んであるが、連続量を用いたものはわずかな理論研究の報告例がある程度で、実験的研究は皆無である。今回は特に、連続量の光量子コンピュータと古典コンピュータのハイブリッドにより機械学習を行う手法に着目した。はじめに数値シミュレーションを行って、実験系の設計および実験システムの要求仕様を検討し、その成果を9月の日本物理学会にて報告した。その上で、すでに開発済みの1モード入出力の連続量光量子コンピューティングシステムにバージョンアップを加え、この機械学習アルゴリズムを実装できるように準備した。実際に量子機械学習を限られた条件で実装したところ、理論予測に近い結果が得られ、その成果を3月の日本物理学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に、光連続量量子コンピューティングシステムを部分的にバージョンアップすることに成功し、量子アルゴリズムの1つの実装に部分的に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、様々な問題設定で量子機械学習を実装・検証し、シミュレーション結果と比較した上で、それらの結果を論文として発表する。また、さらなる応用の可能性について理論的な考察を進める。
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Causes of Carryover |
光量子コンピュータの設計の工夫および別の機器の活用により、今年度予定していたポッケルスセルおよびその駆動システムの購入を見送ったため。
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