2023 Fiscal Year Research-status Report
Cutting-edge earthquake research by long-term broadband seafloor seismic observation technology at the ultra-deep sea area, a region of observational blank
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23K17313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩原 肇 東京大学, 地震研究所, 教授 (60211950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 裕子 神戸大学, 海洋底探査センター, 教授 (00359184)
篠原 雅尚 東京大学, 地震研究所, 教授 (90242172)
伊藤 亜妃 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (90371723)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2027-03-31
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Keywords | 超深海 / 観測空白域 / 広帯域地震観測 / 長期観測 / 浅部低周波微動 / スロー地震 / 地震発生則 |
Outline of Annual Research Achievements |
「超深海」(本課題では水深6000m以上と定義)の地域は、日本周辺では海溝沿いに広く存在し、海底地震観測の空白域となっている。より浅い海域では実現している1年以上の長期海底地震観測が、その水深ゆえの高水圧によって、国際的にも未だ成し得られていない。本研究課題はこの未踏の領域で、既に多くの研究成果を挙げてきている広帯域海底地震計の開発研究と「超深海」用海底地震計開発でのこれまでの取り組みを元に、「超深海」域での長期・広帯域地震観測を可能とする新しい海底地震計の実用化を行う。 2023年度は、2012年に開発した大掛かりな試験機を、信頼性の高いコンパクトな構造へ修正した実用機の機構設計と製作を行う計画であった。この超深海用広帯域海底地震計では、設置・観測・回収の各段階を制御する機構を、水中ケーブルを使用しない完全な機械式で実現しており、将来的発展性を念頭にした設計を製造業者と議論の上で行い完成させた。地震観測そのものに必要な機能を収納する耐圧容器とその内装についても、別業者と並行して設計・開発を進めた。アンカー部の設計も同時に進めており、回収用の浮力体などを含めた全体構造も定まった。 使用する高精度加速度センサーに関しては、開発業者での改修作業が停滞したままであるが、全体構造としてはその改修部分が無くても観測機能が成立するものとしている。小型化した専用の海底地震計用データレコーダーも準備完了した。 超深海用広帯域海底地震計の実地での動作機能確認の試験観測を実施するための研究航海の確保は、海洋研究開発機構の内部航海枠での共同研究として進め、2024年9月に実施の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超深海用広帯域海底地震計の機構部など全体の開発はほぼ予定通りに進捗し、2024年度に機能確認の試験観測を実施出来る見通しが立っている。しかし、高精度加速度センサーの機能改修(傾斜計測用データ読み出し機能の追加)は製造者側での進捗がないため、この部分のみ想定通りに進んでいない。但し、この改修が未完でも代替の傾斜測定手段(電子コンパス内蔵のMEMS傾斜計のデータを用いる)は組込済みで、試験観測の実施は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、加速度センサー・専用データレコーダーを入れた耐圧容器、動作制御機構を含む音響トランスポンダ装置、アンカー部、浮力体を組み合わせ、実用レベルの機能実証機を完成させる。9月には最初の試験観測を実施し、開発した制御機構の実地動作確認を水深3000m程度の海底(紀伊半島沖を予定)で実施する。 2025年度中には長期試験観測を、水深8000m以上の超深海域(日本海溝か房総沖三重会合点)にて開始、2026年度まで実施する。
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Causes of Carryover |
チタン耐圧容器の原材料調達が、製造業者の想定より大幅に遅れてしまい、2024年度前半に納品されることになったため。なお、納期が遅れても、2024年度に予定している機能確認の試験観測の実施には充分間に合うので問題は無い。
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