2023 Fiscal Year Research-status Report
核膜を起点とした新たな神経活動制御システムに基づいた抗脳老化戦略の開拓
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23K17426
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
桑子 賢一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30468475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 孝一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (20546783)
濱 徳行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60422010)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 脳老化 / 神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、まず、「LINC複合体によるAIS制御」の重要性や分子メカニズムについて解析を進めた。そして、LINC複合体の機能不全誘導(機能阻害型変異体の発現)によってAISの構造やその可塑性に顕著な異常が起こることを大脳皮質・海馬・小脳などのさまざまな脳領域の培養・生体ニューロンで明らかにした。特に、AISの成熟後にLINC複合体の機能阻害を行った場合もAISの顕著な異常が起こることから、LINC複合体がAISの機能維持に必須であることが明らかになった。さらに、LINC複合体の阻害によって、AIS構成分子群のプロファイルが大きく変動することも見いだした。これらの分子群の中には「LINC複合体によるAIS制御」のメカニズムの手がかりになりうる分子も含まれており、今後の解析のために候補分子の発現操作用のベクター作成などを行った。一方、加齢に伴うLINC複合体やAISの変化についても詳細に解析を行っており、まだ解析の途中ではあるが、老齢マウスニューロンでは大脳皮質や海馬を含むさまざまな脳領域でLINC複合体の顕著な発現低下とAISの構造異常(短縮)が起きていることを発見した。また、「LINC複合体によるAIS制御」に基づいた老化抑止の検証についても準備を進めた。まず、検証に必要なLINC複合体を発現するアデノ随伴ウイルスベクターの作成とその投与方法や投与量などの各種条件検討を完了し、マウス個体へのウイルス投与を開始した。これらのマウスについては次年度以降、順次解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、予定していた実験を着実に進めて重要なデータが得られており、また今後の解析に必要な技術を確立できたため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、「LINC複合体によるAIS制御」の分子メカニズムの解明と本機構に基づいた老化抑止の検証を中心に、以下の点について進めていく予定である。 (1)「LINC複合体によるAIS制御」に関わる分子の発現操作などによるメカニズムの解明 (2)加齢による神経回路構造、神経活動、脳関連行動の変容の解明(組織学・生理学・行動学解析) (3)老齢脳でのLINC複合体の発現操作による老化抑止の検証(組織学・生理学・行動学解析)
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Causes of Carryover |
今年度は、多くの実験がこれまでに用意した試薬・キット類などで行うことが可能であったため使用額が予定より少なくなった。一方で、次年度は新たな実験系が多く予定より多額の研究費を必要とする。次年度では主に消耗品としての使用を見込んでいる。
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