2023 Fiscal Year Research-status Report
From Scholastic Thought to the Enlightenment, Revolution, and Independence: The Right of Resistance in Spain, Britain, and France
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23K17494
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (80337873)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | アルビトリスタ / 献策家 / ノバトル / 革新者 / 17世紀 / 危機の時代 / バロック / 啓蒙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、バロック期(1580~1680年)スペインで精緻化された第二スコラ学、とりわけその抵抗権概念が啓蒙期以降の近代思想に与えた影響と意義を検討し、スコラ学と啓蒙を対置する二項対立的な通念を覆す新たな思想史解釈を切り開くことを企図する。 具体的な目的は、(1)人民に委譲された範囲を逸脱して権力行使する統治者は抵抗の対象になるというスコラ的言説がいかに啓蒙思想に継承されたかを特定すること、(2)本来政権打倒を企図しないスコラ学の抵抗権概念が、市民革命、植民地独立の思想基盤に行き着く経緯をたどり、その近代的意義を提起すること、の2つである。これらの目的を達成することにより、スコラ学は啓蒙、革命、独立の思想に有用な議論を提供し、近代の思想展開に不可欠な役割を担ったという解釈を提示する。 初年度の2023年度は、国内外の図書館や古文書館において、モンカダからホベリャノスに至るスペイン啓蒙と、ロック、スミス、モンテスキューをはじめとするブリテン・フランス啓蒙の一次、二次資料を調査、読解した。これにより、未刊行資料も含めた本研究の底本が確定され、スコラ学と啓蒙思想の具体的な継承関係が解明されつつある。 成果は、英語著作の1章分として完成予定であるが、本年度すでに草稿の執筆にとりかかることができた。また、本学学生・院生、教職員、県内外の一般市民の方を対象とした国際公開セミナーを主催し、今年度資料調査・読解を行った部分について口頭報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、研究が始動する本年度は国内外の所蔵館等にて、17世紀バロック期から18世紀啓蒙期にかけてのスペイン・フランス・ブリテン思想をめぐる一次、二次文献調査と読解を行う予定であった。けれども実際には、それらに加え、国際公開セミナーを開催し、調査成果の一部を口頭報告できた。このため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初研究計画通り、前半期は引き続きスペイン・フランス・ブリテン啓蒙をめぐる資料調査・読解を行い、後半期はそれらをドイツ、イタリア、ポルトガルのカトリック啓蒙と比較考察する。
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Causes of Carryover |
①カリフォルニア大学への海外出張が協定業務との兼務だったため、出張費の一部を勤務先他財源から支出できたこと、②海外発注している貴重図書等の納品が遅れており、年度内に支払いができなかったこと、により、本年度予算を次年度に繰り越すことになった。②については納品され次第支出し、①については次年度以降の海外出張等の費用に充当する。
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