2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconstruction of the 'Borders' of Post-War Japan: Its Multi-Layered Legal Structure
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23K17538
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小畑 郁 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (40194617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 雄一 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (10387095)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 戦後日本 / statehood / 占領管理 / 領域の画定 / 国籍の画定 / 入国管理 / 法多元主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者・分担者に加えて、研究協力者に、興津征雄(神戸大、行政法)、斎藤民徒(関西学院大、国際法)、横溝大(名古屋大、国際私法)を加える形で研究会を立ち上げ、研究補助者もアルバイトをお願いし、研究組織を整備した。研究会は、2回対面で開催し、本研究の目標と進め方について確認するとともに、「入管令制定に関する経緯と資料状況」・「占領管理体制の法的構造と外国人の地位について」という報告を受け、活発に議論を行っている。 本研究では、戦後の占領管理体制という特殊な法構造が、①どのように形成され、②どのように解体・再編されたか、ということの把握につとめ、それを前提に、③領域的・人的「境界」設定がどのように進められたか、ということの解明を目指しているが、いずれについても、膨大な史資料の整理作業を継続的に進めながら、個別的な研究実績を積み上げている。①②については、同時代の法学者たちの受け止めを中心に、解明が一定程度進んだ。とくに2023年度は、人的「境界」設定に関する重要なポイントである入管法の制定過程を、資料状況の解明も含め、ある程度明らかにすることができた。 平行して、こうした事実経緯を法的に把握・分析するための、枠組みとなる法理論・法概念についての検討を重視してすすめた。戦時占領制度、国際法と国内法の関係などである。また、法学からのアプローチのみならず、歴史学からのアプローチのものも含め、関連文献情報の整理をつとめ、積極的に入手につとめ、これらを総合する形で、本研究の背景となるような諸理論とその機能を把握することにつとめてきた。主としてこの領域で、積極的に、学会発表や論文公表などを行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中の採択であったため、研究のための日程確保が速やかに進まず、立ち上げに一定の時間を要した。関連資料が、予想以上に膨大であることが判明したこともあり、史資料の所在調査と探索・渉猟に時間がとられ、その整理と分析を十分にすすめることができなかった
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、年度当初から計画的に本研究をすすめる。翌年度にせまった研究のまとめのため、ターゲットを明確にする。外国での資料調査も集中的・効率的にすすめる。一方で、資料とその情報の整理に力を入れる。それを通じて、資料収集については2024年度中に目処をつけ、最終年度である2025年度においては。補完的な資料収集作業のみを残すように努める。研究のとりまとめのための成果物の計画を立てる。
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Causes of Carryover |
年度途中での採択であったため、本研究のための外国出張の計画を立てることが難しかったため、2024年度に本研究固有の外国出張を行うこととした。資料収集において、国立公文書館および外務省外交史料館の資料を、両館で複写を依頼するのではなく、持ち込みのiPadでのスキャンによって行うことができたため、予想外の節約ができ、円安のため、経費がかさむであろう2024度の支出に回すことができた。
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Research Products
(15 results)