2023 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study of collective governance of technology systems with distributed core technologies across firms
Project/Area Number |
23K17549
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
安本 雅典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40293526)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Keywords | コア技術 / 集合的な技術のガバナンス / 共有プラットフォーム / 知識 / アーキテクチャ/インターフェース / 企業間ネットワーク / 協調的な標準化 / 標準必須特許(SEP) |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、令和5年度は、複数の企業によって担われているシステムの技術のガバナンスについての文献とそれにもとづく研究の枠組みの検討を進めるとともに、通信分野を対象に、主に(1)企業間にわたるシステムの技術の構造とその分布を検討した。具体的には、まず、これまでに蓄積した標準化機関(3GPPおよびETSI)のデータベースからデータを抽出し整理したうえで、この分野での標準技術仕様の分類にもとづいて、標準技術仕様や標準必須特許についてネットワーク分析を行った。複数の技術間にわたって標準必須特許が申請されていれば、これにより対象システムの技術間の関係をとらえ、コア‐周縁技術から成るシステム全体の技術の構成やアーキテクチャとその変化を把握することができる。 検討の結果、いくつかの相互の結びつきが強く、また他の周縁的な技術間を結びつけるコアとなる標準仕様の技術が存在し、それらは技術の世代毎に変化してきたことが分かった。以上の結果は、コア技術を中心に多様な技術が結びつき、すなわちシステムのアーキテクチャが構成されており、それらはシステムの技術の発達とともに変化してきたことを示唆している。 そのうえで、企業間にわたるコア‐周縁の技術群の分布とともに、そうした技術を通じた(2)企業間ネットワークの構造とその時系列的な変遷を試行的に確認した。その結果、コア‐周縁の多様な技術がそれぞれ企業間にわたって保有されており、とくにコア‐周縁の両方にわたって技術を幅広く保有している企業は相互に結びつきが強く、ネットワークの中心になる傾向があることが分かってきた。 令和5年度は、以上の成果について、関連する途中成果をまとめ、一部を書籍として発表するとともに、国内外の学会や学会誌に成果発表のための投稿を行った。その過程でのレビューや意見交換を通じて、本課題の妥当性を一定程度確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の具体的な課題の検討、予備的な文献レビュー、分析に向けたデータの処理・整理、途中成果の執筆等については、比較的順調に進めることができた。一方、円安の進展等により機動的に調査、打ち合わせ、および研究発表を行い難かったことに加え、その他の業務に時間を要したことから、より的を絞った文献レビュー、本課題の研究の枠組の構築、試行的な分析、途中成果発表、これらに関する意見交換には遅れが生じている。これらの点から、(3)とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、先行研究にもとづく研究やデータ分析の枠組みを検討するとともに、データの確認と追加収集のための調査や意見交換を進め、それらの成果をふまえながら、コア-周縁技術の企業間にわたる分布とその企業間相互の引用について分析を進めていく。これらの一連の作業を通じて、システムの技術の集合的なガバナンスのメカニズムを明らかにすることを試みる。 より具体的には、より的を絞った文献レビューを行い、企業間にわたる技術の集合的なガバナンスを理解するための理論的な枠組みと分析上の枠組みを構築する。同時に、こうした枠組みにもとづき、コア-周縁技術の面から見た企業間の技術的な結びつきやそれらの技術の企業内外にわたる引用関係を時系列的に分析することで、どのようにシステムの技術の発達が促されて、そのガバナンスが成り立っているのか、そのメカニズムを解明することを試みる。 成果については、学会・研究会やワーキングペーパーによる発表を進めるとともに、国内外で論文投稿をより積極的に行っていく。同時に、国内外で投稿中の関連論文の刊行を目指す。
|
Causes of Carryover |
(理由) 予定していた調査・学会発表出張(旅費)については、円安の進展、その他の業務等により予定通りに実施できず、途中成果についての意見聴取や情報収集を行うことが困難であったため。 (使用計画) 次年度以降に、オンラインを含めた調査や発表を実施していくとともに、予定していた調査・学会発表出張(旅費)を順次可能な範囲で進めて使用していく計画である。
|
Remarks |
研究室WEBサイトの内容については更新中になります。
|