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2023 Fiscal Year Research-status Report

エビデンス重視時代に考える計測の失敗-誤った証拠が蓄積される危険性とその対応策-

Research Project

Project/Area Number 23K17553
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

菊池 淳一  一橋大学, 社会科学高等研究院, 特任講師 (10961633)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 中園 善行  横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (10707483)
Project Period (FY) 2023-06-30 – 2026-03-31
Keywordsデータの計測誤差 / 消費 / 期待形成
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、データの計測誤差が分析結果にバイアスを与えている可能性を指摘し、既存研究を再検証することである。データに基づく証拠は重要であるが、データが常に現実を正しく映すとは限らない。実感と研究結果の乖離が生じる大きな理由は、計測誤差にある。計測誤差が大きいデータを用いた分析では、因果効果や相関関係がゼロに近づくという現象(希釈効果)が生じる。本研究は、計測誤差を極小化する計測手法や分析手法を用いながら、計測誤差を多く含む研究結果の再検証を行う。特に消費者に関する既存研究に焦点を当て、過去に推定された経済学的に重要なパラメータの再推定や、消費理論の実証分析を再検証する。具体的には、異時点間の代替の弾力性の推定、効用関数の形を決めるパラメータ(リスク回避度)の推定、限界消費性向の推定、家計消費の動学理論の検証を行う。
令和5年度は、民間調査会社の消費に関するビックデータとアンケート調査を接続したデータを用いて、異時点間の代替の弾力性の再推定を行った。推定の際には、データの測定時に生じる測定誤差や、欠落変数の影響で生じる推定の誤差を考慮した手法を採用している。分析の結果、異時点間の代替の弾力性は既存研究が示してきた値よりも大きく、具体的には0とは有意に異なり、1とは有意に異ならず、1を超える場合もあることが明らかになった。これらの分析の結果をまとめ、国際誌に投稿を行った。採択はされなかったものの、査読者からのコメントをもとに論文の改訂を進めている。また、本年度は調査会社を通したアンケート調査も実施した。調査内容は、家計の物価見通しである。調査には、ランダム化比較実験の設計を含めており、家計が内生的に情報を収集することの影響を分析することができる設計になっている。収集したデータをもとに初期分析を行っており、次年度以降に学会及び国際誌への投稿を予定している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和5年度は、民間調査会社のビックデータを利用し、異時点間の代替の弾力性の再推定を行い、論文を投稿した。結果として採択はされなかったが、査読者のコメントをもとに改訂作業を進めている。また、民間調査会社を通したアンケート調査を実施した。収集したデータをもとに初期分析を行っている。研究課題の当初の計画通り順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

これまでの分析内容を踏まえ、分析と論文改訂を進める。異時点間の代替の弾力性を再推定する研究は、令和5年度に国際誌に投稿した際に得られた査読者のコメントを論文に反映するべく分析と改訂を進める。具体的には、推定の誤差を小さくすべく採用している操作変数法で使用している操作変数の改良と、採用した操作変数の納得感が増すような文章への改訂を行い、国際誌への投稿を行う。
令和5年度に実施したアンケート調査のデータをもとに、家計の内生的情報選択と期待形成の関係性を分析する研究は、まず初期分析の結果をまとめ、学会での報告を行う。初期分析では、内生的に情報を選択した消費者は、外生的に情報を与えられた消費者と比較して、形成するインフレ期待への情報の影響が大きいことが明らかになっている。学会で報告を行った後に、学会でのコメントをもとに改訂を行い、国際誌への投稿を行う。また並行して、家計の異質性にも踏み込んだ分析を行うことで、さらに研究を拡張していく予定である。

Causes of Carryover

国際学会に投稿した論文が採択されず、国際学会への旅費等が支出されなかったため。残額は、次年度以降の国際学会の旅費もしくは新たなアンケート調査の実施費用に利用する予定である。

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Published: 2024-12-25  

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