2023 Fiscal Year Research-status Report
ローカルな知を基盤とする島嶼地域教育に関する国際比較研究
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23K17614
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 麻人 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (10727168)
中田 有紀 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (30553771)
李 正連 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (60447810)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 島嶼地域教育 / インドネシア / 韓国 / 日本 / ローカルな知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、約14,000島(有人島1,766)を有するインドネシア、約3,350島(有人島470)を有する韓国、約6,800島(有人島430)を有する日本の3つの島嶼国家を対象とし、ポスト・コロナ時代における、ローカルな知を基盤とする島嶼地域教育の可能性を国際比較の観点から考察することを目的とする。最終的な到達点は島嶼地域を結ぶ新しい教育ネットワーク構築である。また本研究は、本来中心に置かれるべき島嶼地域からのローカルな視点に着目し、島嶼地域の活性化を教育学の観点から問い直すものである。開発上困難な島嶼地域という従来の通説を覆し、島嶼地域であることが逆にポスト・コロナ時代ではメリットとなるという前提に立つ。 設定した研究課題は、1.島嶼地域の教育とローカルな知の史料考察(文化伝承と生業がいかに営まれ、教育のなかで伝えられてきたかを歴史的に考察)、2.島嶼地域の教育とローカルな知に関する現地調査:歴史(島嶼地域の教育を経験してきた高齢世代のライフストーリーの聴き取り、文化伝承と生業がいかに維持され、教育はいかに変容したかを考察)、3.島嶼地域の教育とローカルな知に関する現地調査:現在(地域内の小学校と中学校、島嶼地域・近隣の職業高校の調査、特に水産高校等の職業高校調査)、4.島嶼地域をメリットとするローカルな知の発信:未来(遠隔教育の活用により、学校がローカルな知を発信する拠点となるポスト・コロナ時代の仕組みの探究、教育プラットフォームの構築と運用)である。 初年度となる2023年度は、島嶼地域の教育とローカルな知の史料考察と同時に、韓国とインドネシアで現地調査を実施した。韓国では予備調査として調査候補地となる島嶼地域を訪問し、資料収集を行った。インドネシアでは主にリアウ諸島州ナトゥナ諸島において、資料収集とともに小中学校、職業学校を訪問し、基礎的情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度となる2023年度は、島嶼地域の教育とローカルな知の史料考察と同時に、韓国とインドネシアで現地調査を実施した。韓国では予備調査として調査候補地となる島嶼地域を訪問し、資料収集を行った。インドネシアでは主にリアウ諸島州ナトゥナ諸島において、資料収集とともに小中学校、職業高校を訪問し、基礎的情報を得た。日本については主に島嶼地域の教育に関する文献調査を実施した。進捗状況は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2024年は文献調査とともに可能な限り現地調査を実施する。しかし、万が一、現地調査が困難な場合は文献資料を中心に研究を継続する。 2024年度は2023年度で行った文献研究を継続すると同時に、現地調査を実施する。具体的には、韓国の島嶼地域での現地調査の実施、インドネシアの島嶼地域での現地調査の実施(2023年度に調査を実施したリアウ諸島州ナトゥナ諸島の他、中部ジャワ州ジュパラ郡カリムン・ジャワ諸島の追加調査の実施)、日本の島嶼地域での現地調査(主に三重県伊勢志摩地域、長崎県五島列島地域)を実施する。 以上の分析を通して、1)ローカルな知と文化資源を生かした島嶼地域からの教育の発信(島嶼地域を周縁に位置づけるのではなく、地球面積の1割弱を占める島嶼地域の重要性と存在感を示す)、2)日本、インドネシア、韓国と同様、海洋に接する国々が海洋国家構想を打ち出すなかで、島嶼地域のローカルな知の重要性と可能性を学術的に解明することを目指す。
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Causes of Carryover |
日本の現地調査は実施しなかった。2024年度は日本も含めて現地調査を実施する。
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Research Products
(11 results)