2023 Fiscal Year Research-status Report
Conscious-brain correlates and evolutionary continuity of auditory qualia space
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23K17646
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岡ノ谷 一夫 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (30211121)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | クオリア / 聴覚 / 局所電場電位 / トリ / ラット / ミスマッチ陰性電位 / オペラント条件づけ / プロクラステス分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
クオリアとは刺激への主観的な感じ方のことである。クオリア研究はこれまで、視覚刺激に対するヒトの心理物理的計測とその神経活動相関に限定されていた。本研究は、聴覚刺激の関係性を行動と脳のレベルで計測することでクオリアに座標軸を与える。複数動物種の聴覚クオリアを比較することによって、その生態学的適応性を比較し、睡眠・麻酔によりトップダウン処理を操作して、クオリア空間への影響を検討する。 令和5年度は、ヒト、トリとラットの脳波・局所電場電位を計測する技術開発を行った。ヒトについては、脳波計により音列のミスマッチ陰性電位を記録することができた。トリについては、頭蓋上に固定する無線脳波計測器を使って、音の提示に伴う局所電場電位を計測することができた。ラットについても同様な装置により、局所電場電位の計測に成功した。さらに、ヒトについては、動因操作のない状況での効果的な刺激提示法を工夫した。トリとラット双方について、自由行動下でオペラント条件づけを施しながら音声刺激を提示して、局所電場電位の計測を可能にするシステムを作成した。このシステムの電気的ノイズを落とすこと、刺激提示に伴う電気的ノイズを落とすこと、および刺激の多様性についての検討を進めた。 行動データと脳波データを比較する方法として、プロクラステス分析により両者の空間渕を対応させ、そのずれを補正するのに必要な情報量を検討した。具体的には、事象関連電位の潜時と電圧が指標となることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で説明したとおり、ヒト、ラット、トリともに基本的な電気生理学的手法と行動学的手法を確立することができた。また、分析手法についてもプロクラステス分析がこの課題に非常によく合致することを発見し、実験と分析を継ぎ目なく連結するパイプラインを構成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
局所電場電位および脳波の計測の基本手法は確立し、動物のオペラント条件づけの手法も確立したので、今後はデータ量を増やすことを中心として研究をすすめる。また、生理実験で得られたクオリア空間と行動実験で得られたクオリア空間との対応づけ技術をさらに刷新する。加えて、動物については麻酔を用いたクオリアの変形を計測することを試みる。
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Causes of Carryover |
初年度は主に私自身が脳波・局所電場電位の計測のための技術を開発していた。手持ちの装置で研究を進めていたため、あまり物品費・人件費が必要ではなかった。次年度は、データ取得を中心に進めるため、人件費が必要である。また、使用する脳波計が円安と材料費高騰によって値上げされたため、想定以上に物品費を必要とすることになる。
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