2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K17652
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
下川 航也 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60312633)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Keywords | 結び目 / 渦 / トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究課題では、これまで流体力学や解析的方法で研究されていた流体の渦を結び目理論を用いて研究する。渦のトポロジーの変化の様子を明らかにし、渦のトポロジーが流れ全体の性質に及ぼす影響を考察し、渦のもつ物理学的特性(循環やヘリシティ)と結び目のトポロジー不変量や幾何学的特性との関連を与えるものである。そのために、渦の繋ぎ換え(reconnection)を結び目・絡み目のバンド手術をモデル化し、研究を行っている。これらの研究をもとに、乱流など渦の性質のトポロジーを用いた特徴付けを行う。 今年度の研究では、結び目・絡み目の交点数と指数(signature)との関連の研究を行った。これまでの研究で、交点数を用いた指数の不等式による評価を行い、指数の絶対値と交点数の差が1の場合の結び目・絡み目の特徴付けを行っている。今回の研究では、その差が2になる場合の特徴付けを行った。また、不等式を満たす指数と交点数の組に対し、実際に結び目・絡み目が存在することも示している。この成果を研究集会で講演し、プレプリントとしてまとめている。 この成果を、渦結び目・絡み目の繋ぎ換えの研究への応用を行う。反平行繋ぎ換えは結び目・絡み目の向きを保つバンド手術でモデル化されることを示しており、これまでDNAの組換えの研究で用いた成果を応用し研究を行っている。渦結び目・絡み目の場合には、DNAの場合と異なり、成分数に制限が付かないため、これまでの研究を拡張する必要がある。現在、その方針で研究を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は渦の繋ぎ換えのモデル化にあたる結び目・絡み目のバンド手術についての新たな結果を得ることが出来た。この成果は、量子渦などのシミュレーションに実際に現れる例に対応するため、その結果の応用が期待されている。そのため、現在の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、これまで結び目と2成分絡み目の場合に得られたバンド手術の成果を、一般の成分絡み目の場合に拡張を行っている。これにより、現在シミュレーションを用いた研究で観測されている渦結び目・絡み目の繋ぎ換えの様子を十分説明するモデルが得られると期待される。今後の研究で、そのモデルにおいて、乱流が発生するメカニズムの解明に挑んでいきたいと思う。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた情報収集のための研究集会への参加を次年度に行うことにしたため。
|
Research Products
(6 results)