2023 Fiscal Year Research-status Report
Nonlinear logarithmic difference operators and their application to structure-preserving numerical methods
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23K17655
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (80242014)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 非線形差分 / 対数型差分作用素 / 混入誤差耐性 / 構造保存数値解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では申請書記載の研究計画の主にステップ1からステップ2にかけての過程を基に各分野の専門家との協働も含めてその研究を推進した. まず,計画ステップ1「非線形対数型差分作用素の理論的解析模索」テーマのサブテーマに沿って以下のように研究を推進した.サブテーマ「数値積分 DE 公式の双対概念として Hardy 空間における理論誤差解析」について(現時点でわれわれは誤差が空間離散化幅 Δx に対して一次オーダー O(Δx) であろうと推測している),DE 公式研究の専門家と協業,研究を推進しつつある.非線形性の強さが数学技術的に障害となり解析は容易ではないが,局所的な線形化解析等を検討している.2つ目のサブテーマ「同 Hardy 空間における数値安定性解析」については数値実験により特徴推測やその結果に基づく高精度化の研究が可能なことに着目し,数値実験計画をたてている.そしてもう一つのサブテーマ「混入誤差耐性の解析」はその数学的性質から自然なことから大きな困難はなく研究が進展している.われわれとしてはより積型誤差が混入する状況よりも緩い状況下での誤差耐性について調査を進めるべきと考えている. 計画のステップ2は「非線形対数型差分作用素の数値誤差・数値安定性,混入誤差耐性に対する網羅的な実証実験」であるが,その網羅性を支える数学的背景について議論をすすめ,必要な準備をすすめている.ステップ1における予備的な数値実験が参考になることから,ステップ1の成果が必要な段階に達した時点で一定の規模で実験を行う計画をたてつつある.そしてこれらの結果をもとに理論的解析結果と比較することで.現時点予測の数値誤差の収束性が確認できると期待している.なおこの際に,おそらく多倍長演算などを用いた実証が必要であろうと推測しており,そうした計算環境の整備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べたように,本研究の対象たる非線形の対数型差分作用素について,2023年度では申請書の研究方法に記載した研究計画に記した主にステップ1からステップ2にかけて想定していた過程計画を基に各分野の専門家との協働も含めてその研究を推進しており,研究の進捗状況としては順調であると考える. より具体的には,2023年度は計画のステップ1「非線形対数型差分作用素の理論的解析模索」で設定したサブテーマに沿って以下のように研究を推進・展開している. サブテーマ:数値積分 DE 公式の双対概念として Hardy 空間における理論誤差解析については,現時点での推測「一般の中心パラメータに対し誤差は空間離散化幅 Δx に対して一次オーダー O(Δx) 」はほぼ正しいと考えており,さらにその理論的証明等について Hardy 空間を用いる DE 数値積分公式の専門家と協業を推進しつつある.非線形性のため解析は容易ではないが局所的な線形化とその解析に基づく手法等の検討を行っている.同様のサブテーマである Hardy 空間における数値安定性解析についても数値実験による研究を推進する過程を計画している.そしてもう一つのサブテーマの混入誤差耐性の解析については比較的明瞭にその性質を示せており研究が進展している.われわれとしてはより積型誤差が混入する状況よりも緩い状況下での誤差耐性についてさらに調査を進めるべきと考えている. 計画のステップ2「非線形対数型差分作用素の数値誤差・数値安定性,混入誤差耐性に対する網羅的な実証実験」においてもステップ1の知見を基に一定の規模での網羅的実験を行う計画をたてつつある.そしてこれらの結果をもとに理論的解析結果と比較することで.現時点予測の数値誤差の収束性が確認できると期待しており,計画としてはやはりこのステップにおいても順調と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,研究計画の本質部分であるステップ1(このステップについては計画期間全体にわたり行うべきと考えている)について研究を行いつつ,ステップ2,ステップ3へと研究を展開していくべきと考えている.進捗状況の欄で述べたように,本研究の対象たる非線形の対数型差分作用素について,2023年度では申請書の研究方法に記載した研究計画に記した主にステップ1からステップ2にかけて想定していた過程計画を基に各分野の専門家との協働も含めてその研究を推進している. 具体的には,計画のステップ1のサブテーマ:数値積分 DE 公式の双対概念として Hardy 空間における理論誤差解析については,現時点での推測(誤差は空間離散化幅 Δx に対して一次オーダー)の理論的証明等について Hardy 空間を用いる DE 数値積分公式の専門家と協業を積極的に推進していく.同様のサブテーマである数値安定性解析については数値実験による研究推進を実行したい.そしてもう一つのサブテーマの混入誤差耐性解析については比較的明瞭な成果を得ており,さらに一般的な状況下での誤差耐性についてさらに調査を進める. 計画のステップ2「非線形対数型差分作用素の数値誤差・数値安定性,混入誤差耐性に対する網羅的な実証実験」においてもステップ1の知見を基に一定の規模での網羅的実験を行う計画をたてつつあり,これをやはり実行に移すべきである.そしてこれらの結果をもとに理論的解析結果と比較することで.現時点予測の数値誤差の収束性が確認できると期待している. さらにステップ3のテーマ「離散変分を非線形差分作用素を用いて構成し,構造保存数値解法構成を模索する」についてはなんらかの新しいアイディアを必要とするまさに挑戦的な課題であるため,常時これを試み,模索していくことで実現への道を拓くことを試みるべきである.
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Causes of Carryover |
数年前からのコロナ禍により2022年度に終了予定であった2件の科研費(基盤Bおよび挑戦的萌芽)の使用に支障が発生し,いずれも2023年度まで計画を延長したことから,本研究と内容の一部が重複する資料用図書費やいずれの分野も講演プログラムに含む国内外の学会出張等の費用を延長した科研費予算にて計上したため,次年度使用額が生じた.2024年度からはこうした不測事態による重複が無いため,多少の調整のもとで使用計画としては特に問題なく使用をすすめることができると考えている.
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