2023 Fiscal Year Research-status Report
キラルな結晶表面はアミノ酸の非対称な合成のトリガーとなるか?
Project/Area Number |
23K17700
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
癸生川 陽子 東京工業大学, 理学院, 准教授 (70725374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興野 純 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40375431)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 隕石母天体 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ酸は生物に欠かせない分子である。アミノ酸の多くは鏡像異性体であるD体とL体を持つが,地球の生物が使っているアミノ酸のほとんどはL体である。なぜ生物はL体のみを使うようになったのだろうか?小惑星を起源とする隕石中に,L体過剰のアミノ酸が見つかったことから(Cronin & Pizzarello 1997 Science),生物がL体のアミノ酸を使うようになったのは宇宙起源である可能性が指摘されている。鉱物には,アミノ酸のD体とL体のように鏡像と重ね合わせることができないキラルな結晶表面がある。これらは前生物化学的なキラル選択において,自然界に豊富に存在し,局所的なキラル環境を提供する場として着目されてきた。例えば,炭酸塩鉱物であるカルサイトは,鉱物表面の結晶方位により,アミノ酸の吸着しやすさがD体とL体とで異なることが知られている(Hazen et al. 2001 PNAS)。しかし,吸着による選別でできる偏りは5%程度であり,D/L比が1のアミノ酸を積極的にL体過剰に導くには不十分である。そこで本研究では,これらのキラルな結晶表面を触媒としてアミノ酸を「合成」することにより,より大きな非対称を作ることを目的とし,キラルな結晶表面を持つ鉱物のもとでアミノ酸の合成実験を行う。 本年度は,キラルな結晶面が判別可能なカルサイト結晶を選定し,特定の面以外は樹脂でカバーするなどの試料準備を行った。また,予察的なアミノ酸合成実験およびアミノ酸のD/H比を精度良く求めるための確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年9月より研究代表者が所属を移動したため,ラボの移動,立ち上げ等で実験の進行がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した鉱物サンプルを用いてアミノ酸の合成実験を行う。実験生成物は,キラルカラムを用いたGC/MS分析によりアミノ酸のD/L比を調べる。以上により,カルサイト結晶の露出面によって,非対称なアミノ酸が合成できるかを検証する。 また,カルサイト以外の鉱物がアミノ酸のD/H比の偏りを誘発するかを検討する。
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Causes of Carryover |
2023年9月より研究代表者が所属を移動したため,ラボの移動,立ち上げ等で実験の進行がやや遅れたことに伴い,残額が生じた。残額分は2024年度に使用予定である。
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