2023 Fiscal Year Research-status Report
多段式加圧による超高温高圧中性子回折実験技術の開発
Project/Area Number |
23K17712
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐野 亜沙美 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (30547104)
|
Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
Keywords | 高圧 / 中性子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで技術的な困難から20万気圧程度までに限定されていた高圧下での高温中性子回折実験の条件を、50万気圧以上に拡大するための技術開発に挑戦するものである。開発した技術を適用し、地球の下部マントル1200kmを超える深さにおける含水相中の水素の存在状態を明らかすることを目指す。具体的には下部マントル条件での中性子回折実験を達成するために、J-PARC MLFの超高圧中性子回折装置PLANET内の6軸型マルチアンビルプレスに複数のアンビルを組み込んで加圧する多段式加圧を導入する。これまでに、超硬製の2段目アンビルを用いるMA6-6セル内に、3段目として中性子の透過率の高いダイヤモンドアンビルを配する方式について常圧下で試験を行った。フォーカシングデバイスを利用することによる試料からの信号強度の確保、MA6-6セルのフレームへのコリメーターの設置によるバックグラウンド対策などを試験し、最適なセル構成を探ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べた様に、今年度は当初計画どおりに高圧実験に最適なセル構成、光学系セットアップについて最適化することができ、萌芽的な研究としての第一段階は踏み出すことができたものの、高圧実験は未実施であり、結果が出るまでにはもう少し時間を要すると考えられることから、現在までの進捗状況はやや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
最適化したセットアップを用いて、高圧実験を行い圧力発生効率、高荷重下での信号強度を確認する。また、高温実験を実施し、高温下での発生圧力の変動についても確認する。補助事業の目的である技術開発を達成するためにビームタイムを確保できるよう、J-PARCの1年課題を申請する予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度に購入した消耗品であるダイヤモンドアンビルの値段が為替の変動の影響を受けて、当初の予定と購入額が異なったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、実験用消耗品の購入に係る費用等に使用する。
|