2023 Fiscal Year Research-status Report
Cell fate determination technique by single cell morphology design using gel-micromachining technique
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23K17723
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 雄太 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70574341)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ゲルマイクロマシニング / 細胞形態設計 / 分化誘導 / シングルセル / 細胞パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療は細胞の老化が原因の疾患や自然治癒の難しい疾患の根治治療に途を開くものであり、日本のみならず世界中で期待される課題の一つである。本課題では、各種細胞の形態に着目し、シングルセルレベルで形態を設計し制御することで、細胞分化誘導技術を実現することを目的とする。本年度は、シングルセルレベルの形態設計が可能な技術の構築を構築した。具体的には、半導体加工技術のエッチングやリフトオフなどのプロセスをゲル材料の加工用に応用することにより1辺が5~20μmのゲルパターンの製作に成功した。製作したパターン上で細胞を培養することにより、ゲルパターンに沿った細胞形態を形成できることを明らかにした。また、幅の異なるライン状のパターンにて細胞を培養した場合、ラインに沿って細胞が形態を伸長させることがわかり、幅の大きさに依存して細胞形態が変化することを明らかにした。このように形態制御を行った骨芽細胞からDNAを抽出し、定量PCRを行い骨分化の傾向を評価した結果、形態に応じて分化の初期、中期、後期に発現する遺伝子の傾向が異なることを実証し、形態を設計・制御することにより分化を誘導できることを示唆した。また、これらの形態を制御された細胞のアクチンフィラメントを蛍光試薬で染色し、蛍光観察を行った結果、各種形状に応じてアクチンフィラメントの配向形態の特徴があることも明らかにし、アクチンフィラメントの形状と分化誘導との間に関係性がある可能性を示した。今後は、実験回数を増やして得られた実験結果の信頼性を向上させると共に、複数種類の細胞種への分化誘導について挑戦する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、シングルセルレベルでの細胞形態を制御するゲルマイクロマシニング技術を開発しており、実際に細胞を培養することで、シングルセルの細胞形態設計と制御が可能であることを示した。また、定量PCRを用いた評価においても細胞形態の制御により分化を誘導できる可能性を示した。上記の通り当初の計画を着実に実行しており、次年度も計画に沿った研究推進が可能である。これらのことから、今年度の達成度はおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も継続して細胞の形状設計と制御を行う実験を進め、形状と分化・機能発現との相関関係を検討する。また、細胞種を増やした検証や幹細胞を用いた検証を実施する。これらの検証に関する実験方法はこれまでの実験を踏襲するため、実施すれば必ず結果は得られる。また、本年度に得られた成果に追加して、ウェスタンブロッティングやELISAなどを用いて発現するたんぱく質の解析を行うことにより、細胞形態と発現する遺伝子、発現するたんぱく質との詳細を明らかにする。また、間葉系幹細胞(MSC)の分化誘導を実証する。具体的には、MSCは分化誘導因子を用いることによって軟骨細胞や筋細胞、線維芽細胞、星状細胞、脂肪細胞、骨細胞など多種類の終末分化細胞に分化し機能発現することが知られている。これらの細胞の形態を模倣したパターン上で個々の細胞の形態を設計し制御することにより、細胞の分化誘導ができることを実証する。
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Causes of Carryover |
本年度は、シングルセルレベルの細胞形状を製作するための技術の開発に尽力すると共に、形態と細胞分化の関係について定量PCRを用いた評価を主として行ったため、当初予定していたELISAやウェスタンブロッティングなどの機能発現を評価するたんぱく質解析用キットの購入が予定よりも少なかった。また、実験補助のために計上していた人件費を雇用候補者不在により使用できなかった。これらのことにより次年度使用額が生じた。これらについては、2024年度も同様の実験を進めるため、同様の目的で使用予定である。
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