2023 Fiscal Year Research-status Report
直腸切除手術後における排便機能障害の力学的メカニズム解明
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23K17730
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 駿一 神戸大学, 工学研究科, 助教 (80824169)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 計算バイオメカニクス / 消化器系バイオメカニクス / 数値流体力学 / 流体構造連成解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,直腸切除手術後における排便機能障害(Low Anterior Resection Syndrome; LARS)の症状が,切除手術による直腸の形態変化と運動機能変化の複合的な力学的要因からなるものであると考え,手術による直腸の運動・形態の変化と,それに起因する大腸内の力学状態との相互関係を定量的に明らかにし,LARSの背景にある力学的メカニズムを明らかにすることを目的とする. 2023年度は,大腸の収縮運動による内容物輸送を実現するための計算力学モデルを開発した.医用画像に基づく実形状モデルを使用し,大腸壁を能動的に収縮する超弾性体としてモデル化した.大腸壁の能動収縮には塑性変形理論を適用し,大腸の変形解析に有限要素法,大腸内容物の流動解析に格子ボルツマン法を用いた.流体構造連成解析手法として埋Immersed boundaryを用いた. 大腸形状モデルは内容物が充填した状態で取得されたのものであったことから,はじめに自然な空腹状態の大腸形状の推定を行った.充填時の大腸内容物の体積を徐々に減少させることで,空腹時の大腸形状を推定した.その結果,内容物体積が20~30%程度減った状態が空腹時大腸の形状として妥当であることが明らかとなった.さらに,大腸壁の能動収縮によって生じる内容物輸送の解析を行った.能動的な収縮により,上流部の圧力低下と下流部の圧力増加が生じ,それに伴って大腸内容物が下流へと輸送され下流部が受動的に拡張するという一連の現象を再現することができた.また,収縮量を変化させたときの内容物輸送の変化を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流体構造連成解析により健常時の大腸内容物輸送解析が行えているため.
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Strategy for Future Research Activity |
文献値を参考に,術後患者の蠕動運動機能低下パラメータを用いた解析を行う.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である. 次年度請求額とあわせ,次年度の研究遂行に使用する予定である.
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