2023 Fiscal Year Research-status Report
Dramatic improvement in performance of attachments for ultrasonic homogenizers: Development of Acoustic Jet Booster
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23K17734
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
青柳 学 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (80231786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孔 徳卿 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (50868974) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 超音波 / ホモジナイザー / ブースター / 音響流 / キャビテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波振動子の振動面から強力超音波が放射される際に,非線形音響効果により音響流(直進流)が発生する。大気中では放射面近傍に小径穴付き円筒を配置するだけで,音響流が増幅される現象を申請者らにより発見されている。この現象が水中でも生じるかを解析および実験により確認した。この方法は単純な構造で流体中での超音波作用を劇的に向上させる可能性を持つため,超音波処理作業の時短効果が期待される。 本年度では,音響流の流速増大の基本原理を解明し,音響流ブースターの設計開発を目的として,以下のことから新たな知見を得た。 テーマ1. 大気中:音響流ブースターの構造の最適化 超音波放射面の近傍に音響キャビティ―を形成させ,音響流の発生の仕方の変化を観察した。比較的大きな容積を持つ音響キャビティ―に小径穴を設けた場合に,音響流はキャビティ―内から湧き出すように発生することが観察された。円筒中心部に小径穴を設けた音響キャビティ―では出口部から音響流が噴出されるが,放出と吸入が出口部で生じた。つまり,呼吸をするように音響流を放出することが分かった。円筒に横穴を付加した場合でも穴から音響流が噴出した。円筒が超音波浮揚し,音響流の噴出により回転,移動することを確認した。 テーマ2. 液中:音響流のブースト効果の確認 大気中と同様に,水中において超音波放射面の近くに小径貫通穴を軸上に有する円筒を配置する構造を検討した。円筒の貫通穴の大きさ,円筒の配置位置,円筒の材質などを変え,音場解析および音響流解析を行った結果,音響流が強く発生する条件が得られた。試作実験の結果,音響流の大きな増幅は得られなかった。この原因として,放射面近傍に音波の伝搬を妨げるキャビテーション泡が発生し,円筒内に強い音場が形成されないことが考えられる。しかし,円筒の有無で同程度の音響流を得るには,円筒があった方が入力電力が小さいことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大気中において振動面付近に配置する小径穴付き円筒の形状の最適化が遅れている。また,振動面付近に配置する音響キャビティーの形状や大きさによる音響流の発生形態が異なる原因の解明に時間を要する。 さらに,水中では音響流の大きな増幅が得られる条件を見出せていない。振動面付近に発生するキャビティ―ション由来の泡が超音波の伝搬を妨げるためにキャビティ―内の音圧が高まらなかったことが原因であると考えている。キャビテーションの発生を抑えながら,キャビティ―内の音圧を高める方法を試験することに時間を要している。また,円筒の材質でも特性が大きく変化することが新たに分かった。つまり,音響流の増幅には複数の要素が関係するため,良い条件を見出すことに想定よりも時間を要している。 以上のことから「やや遅れている。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗が遅れているテーマ・項目について集中して研究を行う。 大気中では,音場,音響流の解析により音響キャビティ―の形状の最適化を行い,実験で確認する。音響キャビティ―多くの実験・測定を必要とするため,研究担当の大学院生を増員する。 水中ではキャビテーションの発生を抑えることが必須であるため,振動面の振動振幅を小さくすると共にキャビテーション発生の閾音圧の増大のために励振周波数を高くすることも検討する。また,キャビテーションの発生のシミュレーションも音響流解析に加えることを検討し,実験と解析で得られる諸量値を近づけることを検討する。
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Causes of Carryover |
解析によって得られた条件で実験を行った結果,解析と異なる結果が得られた。このため予定していた実験を取りやめ,解析結果と実験結果の違いの原因を解明することを優先したため,本来は実験に要する予定の費用が残った。次年度の実験では,キャビティ―の製作コストの増加や材質を変えて実験を行う回数の増加により,必要な経費が当初予算より増えるため,次年度使用額は実験経費に充当される予定である。
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