2023 Fiscal Year Research-status Report
水素吸脱着によるゲルマネンの物性変化を活用した熱スイッチ材料の創製
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23K17760
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒澤 昌志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40715439)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ゲルマニウム / ナノシート / ゲルマネン / 水素脱離 / 水素吸着 / 熱伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Ge(111)基板上に合成した水素修飾ゲルマネン(GeH)ナノシートを用い、水素脱離する際の加熱条件と結晶構造の相関を調査した。昇温脱離ガス分析法からは、100℃以上に加熱すると水素脱離が生じ始め、300℃程度で水素脱離がほぼ完了することが明らかとなった。水素脱離前後の結晶構造解析をX線回折法により行い、GeHナノシートの層間距離が水素脱離過程で減少することを明らかにした。具体的には、300℃加熱後の層間距離は加熱前に比べ10%縮小した。以上、GeHナノシートの結晶構造を破壊することなく水素脱離が生じるプロセスを構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水素修飾ゲルマネン(GeH)ナノシートの結晶構造を破壊することなく水素脱離する手法の確立に成功しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
熱物性計測の装置導入を急ぐと共に、可逆的な水素脱離・吸着の可能性を探究する。加えて、絶縁膜上に転写したゲルマニウムナノシートの熱物性・電気物性評価を進め、熱スイッチ応用に適したデバイス構造設計を進める。
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Causes of Carryover |
メーカーに特注をお願いしている熱伝導率評価装置(極低温対応)の設計が当初の計画より時間がかかり、2023度末に発注予定であったものを保留した。そのため、次年度使用額が変更になった。これまでに、メーカーとの打ち合わせを対面で3回、オンラインで4~5回行い、本研究で挑戦する熱計測の仕様を満たせる見込みが立った。次年度、当該装置を調達し、研究を推進予定である。
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