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2023 Fiscal Year Research-status Report

唾液から血糖値を測定できるマルチトランジスタ型高感度バイオセンサの開発

Research Project

Project/Area Number 23K17766
Research InstitutionNagaoka National College of Technology

Principal Investigator

皆川 正寛  長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (20584684)

Project Period (FY) 2023-06-30 – 2026-03-31
Keywords有機トランジスタ
Outline of Annual Research Achievements

ウェットプロセスで複数個の電極を作製した基板上において、伝達特性の異なるトランジスタを作製できるかを明らかにするために、n-type Si wafer/SiO2 (300 nm)/Ag nanoink (130 nm)/AgOx/pentacene (70 nm)の構造を持つ素子を作製した。電極は、親撥パターニング法で形成した。銀ナノインクの濃度を5 wt% (dispersion in ethylene glycol and IPA)とし、2000 rpm、30 secの条件でスピンコート法により塗布した後、ホットプレートで100 ℃、および230 ℃で20 minずつ大気中にて焼成した。電極形成後は、基板上の電極をエリアごとに覆うメタルマスクをUV/O3装置の照射時間とともに移動させ、表面酸化処理時間の異なる電極を形成した。酸化時間は0、600、1800 secの3種類とした。その後、OTS処理により基板表面を疎水化し、pentacene (70 nm)を真空蒸着法にて成膜した。チャネル長は100 um、チャネル幅は2 mmとした。素子作製後、半導体パラメータアナライザー(Agilent Technologies、E5263A)を用い、暗中・窒素雰囲気中・室温下で伝達特性を測定した。
伝達特性の測定結果において、銀ナノインク電極の酸化時間によって電流値の差が見られ、さらに酸化時間を長くすると閾値電圧の絶対値が小さくなっていることが分かった。これは、酸化銀の仕事関数がpentaceneのイオン化ポテンシャルよりも大きくなったため、活性層から電極への電子移動が促進され、ホール注入性が良くなったためと考えられた。仮に、電流値に閾値を定めて、ある電圧値で各伝達特性の電流値がその閾値を超えているかを判定すれば、唾液中の希薄血糖濃度の推定が可能となると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は使い捨て出来るほど安価で、かつ唾液中から血糖値を測定できるセンサの実現を最終目標に掲げている。これに対して、現在までに、①酸化時間により有機トランジスタの伝達特性を制御できる点、②同一基板上に伝達特性の異なる有機トランジスタ(マルチ有機トランジスタ)を簡便に形成できる点、③伝達特性の違いから血糖濃度の違いを判別できる点の3つが実現可能性を示すことができた。したがって、現在までの進捗はおおむね順調と言える。
しかしながら、本年度はpentacene蒸着膜を有機半導体層に用いたことから、酸化時間に対する伝達特性の違いが予想よりも小さかった点や、オールウェットプロセスで有機トランジスタ作製を実現できていない点などが課題として挙げられた。このため、次年度以降はこれらの課題を解決すべく研究を継続する。

Strategy for Future Research Activity

前年度で挙げられた課題を解決すべく、以下の実験に取り組んでいく予定である。
一つ目は、酸化時間に対する伝達特性の変化を大きくするために、これまで実績のある有機半導体を活性層に用いて同様の実験を行う、候補としては、同じアセン系でワイドギャップ材料であるテトラセン,アントラセン誘導体を考えている。0sec(酸化なし)の状態では電流が流れないが、酸化処理を行うことで出力電流が次第に大きくなるような特性を示す有機トランジスタを実現させる。
二つ目は、オール溶液プロセスで作製可能な有機トランジスタの開発を目指す。既に電極形成はウェットプロセスで行えている。よって、本年度は一つ目の実験を並行して可溶性ワイドギャップ半導体の選定および低温乾燥プロセスを用いた有機トランジスタの作製と評価を行う。これにより,フレキシブル基板など高温焼成できない基板材料上に有機トランジスタを簡便に作製できるようになると期待される。

Causes of Carryover

酸化条件に対する伝達特性の違いが予想より小さかったため、当初予定していた論文発表や学会発表を行うことができなかった。このため論文投稿費用や旅費などを中心に差が生じてしまった。
次年度は、今年度挙げられた課題を解決し、残予算を有効に活用しながら学会発表等を行っていく計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] Photosensitivity Enhancement of PentacenePhototransistors Utilizing Propagating Surface Plasmon Resonance2023

    • Author(s)
      Layheng Chea, Masahiro Minagawa, Sachiko Jonai, Yasuo, Ohdaira, Akira Baba, Keizo, Kato, Kazunari Shinbo
    • Organizer
      第71回応用物理学会春季学術講演会, 22p-P02-3 2024年3月22日
  • [Presentation] 酸化モリブデンの積層によるペンタセン電界トランジスタの高性能化の検討2023

    • Author(s)
      光山大輔, 馬場暁, 加藤景三, 新保一成, 皆川正寛
    • Organizer
      第33回電気学会東京支部新潟支所研究発表会,NGT-23-010 2023年10月28日
  • [Presentation] プラズモニック有機太陽電池を積層したペンタセン薄膜ホトトランジスタの作製と評価2023

    • Author(s)
      前山 悠真, 皆川 正寛, 城内 紗千子, 大平 泰生, 馬場 暁, 加藤 景三, 新保 一成
    • Organizer
      第84回応用物理学会秋季学術講演会,No. 19p-P03-11 2023年9月19日

URL: 

Published: 2024-12-25  

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