2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of the cement-based materials resistant against extreme deep sea conditions
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23K17779
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
川端 雄一郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (10508625)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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Keywords | 深海 / セメント系材料 / 水圧 / 低温海水 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,深海という極限環境において物理化学的に安定的なセメント系材料を開発するため,高水圧による損傷という物理的観点と低温海水による劣化という化学的観点に大きく分け,2023年度には主に以下の検討を行った。まず,深海を模擬した高水圧下においてコンクリート円柱供試体の圧縮破壊試験を行った。また,合わせて高水圧負荷時のコンクリートへの水の浸透挙動を評価した。これらの実験の結果,水圧は初期において拘束圧として作用し,圧縮強度が増加するものの,水圧負荷時間を長期にすると,コンクリートへの水の浸透に伴って拘束圧が解放され,圧縮強度は無拘束と同程度になった。また,空間的にランダムな空隙の連結性などに影響され,水が不均質に浸透するため,微細損傷を生じている可能性もあることがわかった。今後,より長期の水圧負荷を行い,長期データを取得する予定である。また,深海に特徴的な低温海水に着目し,各種セメント系材料を用いた硬化体を低温海水に浸漬し,劣化状況を確認した。低温海水の作用によってポルトランドセメントは急激に劣化すること,常温海水で耐久性改善に効果的な混和材であっても,低温海水では劣化を生じるリスクがあることが明らかになった。また各種硬化体の劣化の経時変化を電子顕微鏡で観察し,深さごとの相組成の変化を明らかにした。これらの結果から,硬化体の水和条件等によっても劣化速度が異なる可能性が考えられたため,今後水和条件等も変化させた実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は予定通りに進んでおり,多くのデータを取得できた。一部では,計画以上の結果を得ることもできたが,総合的には,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通り順調に進展しているため,継続して研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度に低温海水で劣化したサンプルの分析を予定していたが,劣化状況から2024年度に実施する方が適切と判断し,次年度使用額が生じた。2024年度にこれらの分析と関連治具の購入等を行う計画としている。
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