2023 Fiscal Year Research-status Report
高速車両連結技術を前提とした都市鉄道の近未来型運行スキーム
Project/Area Number |
23K17799
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
和田 健太郎 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20706957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩倉 成志 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20223373)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 都市鉄道 / 自動運転 / 運行スキーム / 分割・併合 / 連続体近似 / シミュレーション / 混雑 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高速車両連結技術を前提として,都市鉄道に要求される多様な条件を同時に満たし得る近未来型の鉄道運行スキームを提案し,その特性を明らかにすることを目的とする.その分析は大きく次の2つのフェーズに分けられる:(a) 戦略的意思決定段階, (b) 運行計画段階.具体的には,フェーズ (a) では,「連続体近似 (CA: Continuum Approximation)」に基づき,提案スキームを表現する理論的に解析可能な数理モデルを構築し,提案スキームが有効となる路線・需要条件等を明らかにする.フェーズ (b) では,フェーズ (a) で示された最適運行デザインの“青写真”を現実に実行可能な計画に落とし込む問題を扱うとともに,シミュレーションを用いて運行スキームの動的特性(遅延に対する頑健性)についても評価を行う.
初年度の令和5年度では,フェーズ (a) として,「速達(急行)サービスとフィーダー(各停)サービスを1本の列車に内包する」という高速車両連結技術を前提とした提案スキームの基本モデルの検討を完了し,路線全体で一様に鉄道需要が分布するという理想的な条件下での提案スキームの有用性を確認した.また,需要の一様分布の仮定を緩和した拡張モデルの検討を行っている.フェーズ (b) としては,フェーズ (a) では連続体として近似していた鉄道システムを適切に離散化した「ダイヤ設計法」を提案するとともに,1台1台の列車の動きをシミュレートするプロトタイプ・シミュレーションを構築した.また,両フェーズに関連する需要面の課題として,コロナ禍の都市鉄道における利用者の混雑回避行動の考察を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フェーズ (a), (b) ともに,理想的な路線・需要条件下の分析は一定程度の進捗があったが,現実的な条件下での分析が遅れている.具体的には,フェーズ (a) の拡張モデルの定式化に時間を要しており,現実の路線を対象とした提案スキームの分析には至っていない.フェーズ (b) では,プロトタイプ・シミュレーションの構築に留まっており,高精度のマルチエージェント・シミュレーションに提案スキームを実装する部分やシミュレーションを用いた運行スキームの動的特性の分析の進捗に遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,フェーズ (a) の拡張モデルの定式化を早急に終え,任意の需要条件下で提案スキームの分析ができる環境を構築していく.その上で,網羅的な需要条件下での提案スキームの評価を行い,提案スキームが有効となる路線・需要条件等をより具体的に明らかにしていく予定である.フェーズ (b) では,高精度のマルチエージェント・シミュレーションに提案スキームを実装する開発を行うとともに,シミュレーションを用いた運行スキームの動的特性の分析を進めていく.
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れていたため,次年度使用額が生じている.今後はその研究のための打ち合わせ・学会旅費およびシミュレーション開発・分析の謝金,その他(論文投稿料等)に使用する予定である.
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Research Products
(9 results)