2023 Fiscal Year Research-status Report
Characterizing local environments of dopants segregated to grain boundaries using beam-rocking electron microscopy
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23K17816
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 真弘 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 講師 (60646529)
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Project Period (FY) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 電子顕微鏡 / 電子チャネリング効果 / ALCHEMI法 / セラミックス / ドーパント / 粒界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,結晶方位関係に制約されずに結晶粒界や異相界面に偏析した異種元素ドーパントの占有位置やその周辺構造を「統計的」に可視化するため,透過電子顕微鏡(TEM)において,異なる視点(結晶方位)から観測する複数の蛍光X線のイオン化チャネリング図形(ICP)からドーパント原子位置,周囲の立体原子配列を定量的・統計的に推定する方法を構築することを目指している. これまで,粒界に異種元素が偏析した試料としてLa添加Al2O3多結晶セラミックスを作製し,粒界部分からICPを取得する計測法の最適化を行った.当初はICPのみから粒界偏析ドーパントの位置やその配位環境を計測することを狙っていたが、原子分解能走査透過電子顕微鏡(STEM)像とICPを複合的に解析する方法をとった.これにより構築した粒界構造モデルを使って原子分解能STEM像を理論計算した結果,実験像を定性的によく再現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,2023年度内に多結晶セラミックス中の一般粒界に偏析したドーパントのX線ICPを取得し,ここからいくつかの仮定をおいて界面モデルを構築することを検証し,これに加えてICP像から逆問題を解くように構造モデルを一義的に推定する方法を構築する予定であった.しかしながら,後者については,それに用いるICP理論計算コードの拡張が未完了であるため,未達である.しかしながら,前者において実験結果から得られた構造モデルはSTEM像を非常によく再現しており,本研究で開発を進めている計測法の妥当性は十分に確認できつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(2024年度)には,2023年度に未達であったICP像から結晶構造モデルを逆推定するアルゴリズムの構築を進めると共に,実験としても異なるバリエーションの一般粒界での計測をすすめ,本手法の妥当性の検証進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
2023年度の主たる支出として計算資源増強のためのワークステーションの購入が挙げられる.本ワークステーションは2023年度内に開発予定であったデータ解析アルゴリズムによる計算により増大する計算コストに対応するためであった.しかしながら,このデータ解析法の開発が予定より遅れたため,本支出の生じる時期が次年度に後ろ倒しとなった.また,実験装置を改造するための部品購入費も計上していたが,2023年度の実験計測法の最適化により本改造は不要となった.これに関しては次年度に後ろ倒しして購入予定の計算機のスペック増強に当てる.
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Research Products
(2 results)